レイトショーで映画を見てきました。
退勤後、本当は私、小樽へ行こうと思っていたのです。なぜなら、職場から近いし、駐
車場にも困らないし、帰り道はだらーっとドライヴを楽しめるからです。夜景もきれいだ
し。レイトショーは1200円、こいつを目当てに映画を見ようと思っていたのですが、な
ぜか反対方向の厚別へ向かい、午後八時過ぎ、私は江別市文京台南町、野幌森林公園大沢
口にいました。煙草を喫って、何となくだらだらしたあとで江別市内のシネマコンプレッ
クスへ出かけて、映画を一本見てきました。
開場してから私は小躍りしかけました。
「観客は俺ひとりか」
なんと貸し切りではないですか。
いままで、劇場に行ったら観客が自分を入れて五人しかいなかった、ということはあり
ましたが、これは新記録です。超豪華なホームシアター気分ですよ。
が、開演10分前にしょぼいアンちゃんが現れ、そして次にカップルが現れ、次にまた
すっかい兄ちゃんが現れ、結局ホームシアターの夢はたたれました。残念です。
私は彼らより前にいたので、まあ結果的にひとりで見てきたようなもんですけど。両隣
も前方もクリア。すばらしい。
見たのは「イノセンス」でした。
仕事中、なんとなく映画を見たくなり、「花とアリス」か「イノセンス」を見ようと考え
ていたのですよ。たまたま休憩室に新聞が転がっており、映画上映情報を見ていたら、「レ
イトショー見られるなぁ」と思ってしまい、それで職場からそれほど遠くない小樽を目指
そうと思ったのですよ。
残念ながら「花とアリス」はだいたいどこの映画館でも一日2回程度の上映で、しかも
最終回は18時35分。間に合うはずもない。中心街の映画館に行っても間に合わないです
よ。なので、21時35分からの「イノセンス」にしたのですよ。
小樽は好きな街です。
あの斜陽っぷりがたまりません。
似たような理由で室蘭も好きなのですが、おそらく私は立体的な街並みが好きなのでし
ょう。平地にビルが並んでいるのではなくて、地形そのものが起伏に富んでいる都市がよ
いのです。室蘭は相当変な街ですよ。住みたいと思うわけではありませんが、何度いって
も面白い街です。あの寂れ具合がたまりません。一人で行くに限ります。あの街は。
そして「イノセンス」です。
なんとまあ饒舌な映画でしょう。
映像はすばらしかった。
なかでも、択捉に舞台が移ってからの、あの悪夢のような祭りの風景。あれ、祭りです
よね? あれはすさまじかった。
私の感想としては、「イノセンス」、壮大な悪夢です。
「スターリングラード」の渡河シーンも、十分に悪夢だったのですが(というより、あ
れも全編悪夢的な画作りだったような気がする)、「イノセンス」はただものではないです。
頭が疲れ果てているときに見たからかもしれませんが、択捉のシーンは、もうぜんぶ悪夢
ですよ。艦砲射撃のシーンも、あの屋敷のシーンも全部。狙っているのかな。ただ者では
ありません。夢から覚める堂々巡りのような仕掛けが今回は復活していて、押井守はああ
いうの好きですねぇ。やめておいた方が。
なんて思いましたが、何度も繰り返して見れば、もっと味のでる映画なんだろうなぁと
思いました。少なくとも、「リリイ・シュシュのすべて」よりは物語が濃い。非常に哲学的
で、セリフがくどい気はするけれど。
私はセリフが少なく、淡々と風景の中に登場人物が「居る」映画が好きです。そういう
方向では、今回の「イノセンス」は少しはずれているのですが、銃器描写はよかったです
ね。発砲音がかなり。しびれるような炸裂音で、あれだけでも気持ちよかった。「何か小さ
いものが炸裂して、強力なエネルギーを解放している音」なんですよね。実際に録ってき
たのかどうかはしりませんが、「ダダダダ」は「ダダダダ」でも、ずっと強く、しかもはじ
けた音で、空薬莢がはねる音も気持ちがいい。ああいうのがよいですね。なかなかそうい
うことにこだわってくれる人はいません。
私は匂いフェチである以前に、相当の音フェチです。
乾いた音が好きなんですよ。
または、「同録したんだな」という音。床のきしみや椅子の音、ページをめくる音。こう
いう音をしっかり気持ちよく拾ってくれていると、それだけでも楽しくなってくるのです。
そういう人は少ないのかな。
音は、重要です。
映像作品は、「映像があること、それが動くこと、そして音が聞こえること」これがすべ
てですよ。だからこそ、どれかが欠けてもダメです。音にはこだわりたいですよねぇ。靴
の音だとか、エンジン音やドアの閉まる音、銃が出てくれば作動音。弾倉を銃に装填する
ときの音だけでなく、構えたときの銃のきしみや、スライドを引いたときに、ボルトが開
放され、そしてまた閉鎖されるときの音、もちろん発砲したときの乾いた音、炸裂音、空
薬莢がはねる音、それらすべてが快感ですよ。いい音は。
テレビドラマってあんまり音にこだわっていないんですかね。
セリフすら聞き取りづらいものもあるくらいだから、あんまりこだわっていないのかな。
生活の音もちゃんとこだわって欲しい。
でも、ねちょねちょ系の音は、私ダメです。残念です。
というわけで、頭が痛いので寝る。
(2004-04-06)