北関東の小都市から、わたしは休暇を利用して沖縄を訪れました。
沖縄です。
一度も行ったことがありません。
武の映画や「リリイ・シュシュのすべて」で描かれ、日本であって日本でないような雰
囲気をもつ、琉球。そこへわたしは出かけたようですよ。
どういうわけか飛行機に乗っているときの記憶がありません。けれど、船で行くはずが
ないので、おそらく飛行機で向かったはずです。
那覇ですか。ええ。那覇空港に降り立ったはずですよ。航空自衛隊と海上自衛隊、陸上
自衛隊もいる那覇空港ですよ。
そして、沖縄にはまだ電車がないはずなのに、電車に乗りましたよ。
電車ですよ!
沖縄本島にはまだ電車はないのですよ。
戦前はあったらしいのです。鉄道が。しかし、現在は新交通システムだったかモノレー
ルを建設中(もう完成したのかな?)のはずで、鉄道はないはずです。
しかし、乗ったのです。
鉄道に。
電車の窓からは、水田が見えました。
あれ?
沖縄では二毛作やってるはずだけど、こんな、アジアの某国みたいな風景だっけ?
なんか北海道の稲作地帯にも似ているような。
そして、電車は「川流」という駅で止まりました。終点のようです。
那覇じゃないの?
変なの。
620円取られました。
よく覚えています。
そして、降りると熱気。
これですよ。沖縄はこういうイメージですよ。
しかし、風景が……。
沖縄独特のコンクリート建築は?
あれ?
まるで浦和の街ですよこれじゃあ。
まあいいです。
中心街に向けてあるいていきましょう。それにしても天気が悪いですね。曇天です。
バス停を探しました。歩いて中心街まで行くのはかなりたるいです。
が、気づけばT字路。
ここは本当に沖縄か?
なんとなく余市や寿都の街に似ています。
右を見ると、セブンイレブンとローソンがありました。セーブオンじゃなくてよかった
です。ミニストップだったらどうでしょう。北海道にはセーブオンもミニストップも
AMPMもファミリーマートもありません。セーブオンは北関東限定らしいですが。
雨が降り始めました。
沖縄の雨です。
街はもうすっかり暮れようとしていました。
わたしはなぜかカバン(学生カバンのような手提げ)を持っていたので、それをかざし
て雨宿りしましたよ。
そして、気がついたらもう夜が明けていました。
滞在二日目です。
どこに泊まったのでしょう。まったく謎です。
わたしは小道を歩いていました。
街を見下ろすような細い砂利道です。木々は背が低く、赤茶けています。熱帯のような
気がしません。せいぜい赤土なのが北海道と違う点ですか。
しかし、見下ろす街並みはやはり岩内やオタモイの町のようで、沖縄っぽくありません。
何ででしょう。
すると、小道で作業をしているジジイがいました。
「ヤンバルの森はもうだめだ。米軍が接収した森は豊かだが、他は……」
おお。ようやく沖縄らしい単語が。
しかし、米軍が接収とは。
いまはいつでしょう。
そのまま歩くと、ジジイの息子らしい男が。
「○?△□※?♪」
なんと言ったのか覚えていません。ようするに、あのジジイは正しい。困った、という
ようなことを言われました。
赤土が足元で太陽に照らされています。
暑くないんですけどね。湿気もないし。ここは本当に沖縄か?
赤土が街を染めていました。それは悲しい光景でした。
いよいよわたしは沖縄を離れなければならなくなりました。
しかし、空港までは遠いのです。
電車の駅を目指します。が場所がもうわかりません。なので、タクシーの運ちゃんに訊
きました。
「川流の駅までは遠いですか?」
「車で五分くらいだよ」
「基本料金ですね」
「そうだね」
タクシーには乗らず、わたしは歩きました。
で、駅です。
迷いもせずに到着してしまいましたよ。
なぜか女の子がわたしを見送ってくれました。
髪の長い、かわいらしい女の子です。歳は似たようなもんかな?
別れを惜しんでくれています。
不思議です。
わたしはその子とは一度も会ったことがありません。が、設定ではどうも相当仲がよい
らしく、ずっとメール交換か何かをしていたようです。もしかすると、わたしが沖縄を訪
れた理由のひとつかもしれません。
彼女は別れを惜しんでくれています。
「ごめん。もう行かなきゃならないんだよ。北海道へ帰らないといけないんだ」
沖縄から北海道へ。言いながらわたしは妙に感動していました。
彼女はじっとわたしの目を見ています。
たまらず、わたしはデッキで彼女を抱きしめてしまいました。
黒い髪が柔らかく、彼女の体温はまったく感じません。
そのうち、彼女を乗せたまま、電車は動き出してしまいました。
来るときに乗った車と違い、なぜかクロスシートです。来るときはロングシートだった
ような気がします。
で、彼女を横に乗せて、過ぎていく沖縄の風景を眺めていました。
そして気づいたらわたしは札幌の自室にいました。
長い夢でした。
(2004-04-18)