どういうわけか銃にまつわる話。
「ボーリング・フォー・コロンバイン」というミニシアター系で上映された映画を知ってい
るかどうか。ようするにアメリカの銃社会について、皮肉たっぷりに描き出したドキュメ
ンタリーなのだけれど、アメリカの銃に対する考え方は日本や他の国とはずいぶん違うよ
うで。
全米ライフル協会が絶大な権力を誇っているあたり、アメリカの社会構造が、自らの身
は自らが守る、守らなければならない、というなかば強迫観念にも近い理念によって動か
されていることに気づく。
それは去年のイラク戦争だったり、アメリカが突出した軍事力をいまも維持し続けてい
ることにもつながっているのだと思う。
アメリカの歴史を紐解くまでもなく、武器とアメリカの関係は、建国以来のつながりが
ある。それはやはり自らの身は自らが守る、というもの。だからこそ、スーパーマーケッ
トでも銃が売っている。
数年前にアメリカへ行ったとき、スーパーマーケットをいやというほど歩いたが、銃は
なかった。ウォルマートでも銃を扱っている店舗があるらしいけれど、アメリカは州によ
って法律が変わるから、カリフォルニアではどうだったのかはわからない。とにかくカリ
フォルニアは煙草を喫えない州だった。となりのネヴァダは逆に煙草が喫い放題で、カジ
ノの中やホテル、ショッピングモールや空港でもいくらでも喫えた。
ただし、アメリカは煙草が高い。マルボロが一箱4ドル近いのだ。健康にはうるさいは
ずなのに、極限的に人命を奪うことが目的の銃規制が甘いのが不思議な国だ。
身分証明があれば誰でも銃が買える。
なんともおそろしいことだ。
ようするに、自分が銃を持っているとしても、相手も銃を持っている可能性が高いとい
うことなのだ。
日本であれば、たとえば公園や道端で誰かに襲われたところで、武器はせいぜいがナイ
フ、あるいは素手。当然ナイフも刺しどころが悪ければ死ぬ。が、滅多に「被害者側」が
武器を持っていて反撃することはない。市井の日本人は、おおむね武器を持っていないか
らだ。もちろん傘やペーパーナイフ、アタッシェケースも武器になろうが、銃とは比較に
ならない。アメリカでは、襲うほうも襲われるほうも命がけというわけだ。当然、軽微な
引ったくりや強盗が殺人事件にすら発展してしまう。
警察機関や軍隊で用いられている9mm口径の拳銃であれば、発射初速は音速を超える。
アメリカでは45ACPと呼ばれる大口径の弾丸が好まれ、現在でも40口径の銃が多い。貫
通力よりストッピングパワーを重視するのは、西部劇時代の名残だろう。幌馬車を襲うイ
ンディアンたちを何とか倒すために大口径で破壊力のある(命中した瞬間、運動エネルギ
ーを開放するようなタイプ)銃が好まれているというわけだ。
考えても見てほしい。
銃弾に触れたことのある人は少ないだろうが、パウダーを抜いたキーホルダーにもなっ
ているライフル弾や拳銃弾の弾丸は、重く鋭い。もちろん拳銃弾は貫通力より破壊力を重
視するタイプもあるので一概には言えないが、ライフル弾は一様に鋭く、ライフル弾の初
速はマッハ2を超える。触れてみれば、そんな弾丸が人体に命中すれば、どのような状態
になるのかすぐにわかる。
想像力があれば。
昨今、日本でも想像力の欠如が著しいと思う。
一昔前に問題になった、中高生たちの「武装」のことだ。
僕らも小学生や中学生の頃は、みんなナイフを持っていた。それは道具としてであり、
鉛筆を削ったり、図工の時間に木材を加工したりするのに使った。よもやケンカでナイフ
を取り出して相手に向けようなどと考える人間は一人もいなかった。少なくとも僕の周り
には一人もいなかった。みんな一度や二度はナイフで自分の指やてのひらを切り、その痛
みを知っていたからだ。誰かとケンカするなら殴ったほうが早い。
平和教育にも通ずるものがあると思うのだが、醜いもの、危険なものを子どもたちの前
から隠し、なかったことのようにしてしまうのは危険だ。小学生のうちから刃物を持たせ、
自分の指を一度や二度切らせておいたほうが、痛みがわかるとは思わないだろうか。切ら
れれば痛い。刺されたら……どうなるかは赤ん坊でもわかりそうなことだ。
平和教育と称し、戦争や軍事にまつわるものにふたをする日本の教育現場もまるで不健
全だと思う。
誰も戦争を望むものはいないのだ。なぜなら、あのとがったライフルで撃たれたら痛い。
空から爆弾が落ちてきたらどうなるか、誰だってわかる。
趣味的な部分を除外して。私は子どもたちに、兵器に触れさせるべきだと思う。
男の子はみんな銃や戦車、戦艦や戦闘機が大好きだ。これはきっと遺伝子的なものだと
思う。性的なものもあるのだと思うけれど、しかし、自衛隊の駐屯地で、土煙を上げて邁
進してくる戦車の列を見たら、ちょっと物陰に隠れたくなる。怖いのだ。無言の圧力があ
る。あんなものが実弾を装填して街中を歩くような時代にしたいなどと、誰が思うだろう。
ああいった体験は重要だと思う。
話がそれてしまった。
アメリカの銃社会の話しなどどうでもいいのです。
すみません。
実はここ最近、どういうわけか銃が出てくる夢を見るもので。
大体がライフルなのです。
ボルトアクションのライフルを持って森の中を歩き回る夢が一回、セミオートマチック
のライフル(狙撃銃らしい。スコープついてました)でなぜかシャンデリア(あれはラン
プシェードだったかも)を狙う夢など。
よくわからないのです。
いきなりこんな話をしたらみんな引くと思ったので、ちょっとかっこつけてみました。
ヘヘヘヘ。
(2004-05-09)