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苫小牧港マリーナ計画

片 山  善 冶

苫小牧港管理組合 計画第二係長

1. はじめに
 
近年, 所得水準の向上,自由時間の増大などから,レジャー・余暇活動に重点をおいた生活に関心が寄せられ特にレクリェーション活動は一層の増大,多様化が予想されている。四面を海に囲まれ,周囲約3方4000kmの美しい海岸線を持つわが国において. 海は単なる生産の場だけでなく,信仰の対象あるいは文学, 美術や歌謡の題材となるなど,古来より人々と深い関わりを持ってきた。このようなことから、海洋性レクリェーションの需要は増し、 その内容も従来の海水浴や潮干狩等のマスレジャーから,ヨッティングやボーティングをはじめとするスボーツ型の活動が急速に普及すると思われる。
 マリーナは,ヨット、 モーターボート等(以下プレジャーボート」という。)を係留,保管し,これを媒体とする海洋性レクリェーションに必要とされる各種サービスを提供できる港湾である。わが国には平成元年10月現在,全国で374箇所(うち地方公共団体が設置, 管理する公共マリーナは38箇所)あり, 北海道においては9箇所(うち公共マリーナは小樽と江差)となっている。

2.位置と経緯
 苫小牧港は札幌に近い大平洋南西岸に位置し,広大な勇払原野を抱き, 背後には樽前山と支笏湖があるなど,自然環境に恵まれた港湾である。本港は,西港区と工業港として建設中の東港区からなり,港湾区域約14000ha海岸線20kmの広大な水域を有し.国際貿易港として, また, 流通拠点港として本道経済はもとよりわが国経済の安定的発展にも大きな役割を果たしている。
 マリーナ計画が進められている勇払浜地区は,西港区と東港区のほぼ中間にあって,寛政12年(西暦1800年)武州八王子から勇払に移住した八王子千人同心が,苫小牧市で初めて開拓の鍬を振った場所として知られている。
 苫小牧市は昭和41年に全国初の「スポーツ都市」宣言を,昭和48年には「人間環境都市」宣言を行い,市民の健康増進と潤いのある都市づくりを推進している。苫小牧港を管理・運営している苫小牧港管理組合は,昭和61年港湾計画の改訂を行い.マリーナ計画を策定した。

3. 基本方針
 海上交通と陸上交通の接点である港には, 古くから商業、観光業,造船業,流通加工業,漁業をはじめとする様々な産業が栄え「みなとまち」が形成されてきた。この時期は「みなとまち」自体が総合的な機能を有し,文化の出入口,コミュニケーションの場として賑わいがあり,それぞれ個性あるものだった。
 その後,近代化の過程の中で、効率性を重視した港湾整備を行ってきたため, 産業と物流に特化した単機能的なものとなり,港から総合性を持つ「みなとまち」は消滅しつつある。都市も港に背を向けて形成し始めている。苫小牧港についても,平坦な原野を掘り込んで人工的に造った港であり,歴史も浅く,まちの中から港を眺望できる場がほとんどないこともあって,市民と港との隔絶はより大きいように思われる。
 苫小牧港におけるマリーナ計画は、広大な未利用空間を有する勇払浜地区を核として、 「みなとまち苫小牧」のイメージ作りのためのシンボルとなるものを考え.基本方針を次のように設定した。

1)海や港の持つあらゆる機能を有し,人と港湾との調和を図り,新たな港湾都市を形成するため、勇払浜地区に「みなとまち苫小牧」をイメージさせるシンボルゾーンを開発する。
2)観光拠点としての開発を目指し,レクリェーション,イベントの場として整備を行う。
3)地域で計画されている道央テクノポリス構想や苫東工業基地構想を一層促進させるため,レクリェーションや休養・保養の施設整備を行う。
4)地域の教育・文化を振興させるために,イベント広揚を姶め,教育・文化機能の整備を行う。

4.計画概要
 計画収容隻数500隻(ヨット150隻,モーターボート350隻), 防波堤1000m,小型さん橋6基,レクリェーション施設用地約7 ha, 海浜緑地12ha,魚釣さん橋6基となっていて,海釣やプレジャーボートの利用を主体とした海洋性レジャーの拠点を築くこととしている。事業は昭和63年度に着手し,これまでマリーナの外郭施設である防波堤のケーリン製作・施設,防波堤の地盤改良等を行っており,平成8年の供用開姶を目途に進めている。
 管理運営については,公共の指導力, 調整力に併せて民間の経営力,資金力,企画力を活用した第三セクター方式を検討している。

5.交 通
 マリーナの利用形態は, わが国の休暇制度から考えると,週単位や月単位の長期滞在型利用は将来の目標であって,当面は週末主体や年次休暇利用の短期滞在型利用であろう。 このため,マリーナにおける滞在時間を少しでし長く確保して有効に活用することが求められ.p到達するまでの所要時間の短縮が必要とされる。
 苫小牧港のマリーナは,千歳空港らか車で30分の所に位置し,羽田から千歳まで90分として,東京から約2時間の至近距離にある。東京からの交通料金を考慮に入れても安くなるよう施設の利用料金を低廉にし,高質なサービスを提供できるとすれば、道内だけでなく首都圏近郊からの利用も考えられる。そのためには、マリーナ周辺の交通機関の整備だけでなく、千歳空港からのアクセスも容易にすることが求められる。
 今日、人々は高級化,個性化,差別化という三つの条件を満足させてくれる商品、サービスに対し強い関心を持っていると言われていることから,マリーナにおいても互いに切瑳琢磨し. 個性化,分化してゆくことが考えられる。個性的なマリーナが国内に適性に配置され,相互に連携しあうことにより, 個々のマリーナでは不可能な広域クルージングネットワークが可能になってくる。
 このような魅力あるマリーナにするためには,桟橋,艇の上下架施設、ボートヤード, 修理施設などの港湾機能や気象情報の提供、救助等のサービス機能を充実させることが大切であるが、個性的な魅力の多くはその背後地に求められる。苫小牧周辺の市町村は,現在、住民の郷土愛の対象となるような地域に根差した景観や生活文化を生かしたまちづくりを進めている。また支笏洞爺国立公園も背後にあり,マリーナを核としてこれらの町や観光地, レジャー施設等を魅力的な交通機関で結ぶことが必要である。たとえば道路の場合,単に車が速く安全に走れることだけでなく,ストリートファニチャー等を工夫して,道路を走りながらそのまちの持つ物語性(歴史、文化等)が想像できるようにするなどの配慮が必要と考える。

6. おわりに
 苫小牧港のマリーナ計画について私見も含めて述べてきたが,防波堤以外の施設の配置,管理運営については現在検討中であり,早い機会に供用開始できるよう努力して参りたい。
 北国にふさわしいマリーナにするため,北海道でマリーナ事業を推進している諸兄の御指導をいただきたい。

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