コミューター航空の実現を願う
秋 元 伸 一
北桧山町長
私の小さい頃の思い出として, 学校の身体検査が行われる日,
お医者さんが自動車でやって来るのを,
生徒全貝で出迎えたのを覚えている。
出迎えの目的は自動車を見たり, さわったりすることが目的で, 自動車がとまると, うしろに行って, ガソリンの臭いをかいだものである。
その当時, 田舎町である私の町では, この自動車1台だけだったように思う。あれから50年経った今, 当時の夢であった自動車を多くの人が, 所有するまでになったわけである。
自動車の増加とともに道路の改良舗装化が進み, いまや陸上交通の王座を鉄道から奪ったのである。この傾向は, 他に交通手段の少ない田舎の町村ほど顕著であるように思う。このように考えてみると, 私共の周囲はいま大きな変革の中にあると言わなければならない。交通体系にしても, 住民の要求しているものは「より早く」というように高速化を望んでいる。 そこで地域住民の願望も, 北海道新幹線の着工や北海道縦貫自動車道の早期完成に向けられるのである。
しかし, 新幹線や自動車道ができても, その恩恵を受けることのできない地域もあるので, その対策としてコミューター航空構想が浮上してきたのだと思う。 現在のいろいろな構想のもとでも, 私共の地域は, 高速交通体系の域外にならざるを得ない地理的条件下にあるので, 私はこのコミューター航空の必要性について強い関心をもって, 「全国地域航空システム推進協議会」の会員となったので, これから尚一層研さんをいたしたいと考えている。
昭和54年町民と共にヨーロッパを視察研修旅行した際に感じたことであるが, 小,中学生の子供が一人で飛行機に乗り旅行をしていたり, 指定席制度がないなど気軽に飛行機を利用している。それは, 私達が汽車を利用するのと全く同じように一般化されているように思えた。 ヨーロッパと日本では, 地理的にも歴史的にも比較はできないが, 自動車の例をとるならば本当に近い将来, コミューター航空が必ず実現するものと確信しているものである。
また, 人の輸送だけでなく新鮮な農畜産物や漁貝類を早く都市に届けるような工夫もして, 生産地と消費地を直結する役割を担ってほしいものである。
新しい制度が出来るには,
いろいろな問題が解決されなければならないが, 21世紀に向って,
国民みんなが英知を結集して新しい交通体系であるコミューター航空の役割と方向付けが1日も早く出されることを心から望んでやまない次第である。