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空港整備事業と地域の活性化・中標津空港の事例
若 林 典 之
釧路土木現業所
道路建設課長
はじめに
中標津空港は, 旧海軍が造成したものを30年代に補修して使用していたが,
昭和40年,中標津町による整備事業が完了し1,200mの滑走路で供用を開始した。その後,運航休止に追い込まれるような状況もあったが.
昭和48年,道に管理が移管され,昭和55年にYS-11が投入されてからは需要が順調に伸びたため,第4次空港整備五箇年計画の最終年に当たる昭和60年、ジェット化整備に着手することになった。
5年間の工事を経て,平成2年7月26日,長さ1,800m,幅45mの滑走路を有する小型ジェット機(
B−737, DCB- 9クラス)
対応の空港として中標津空港は生まれ変わった。
当初の計画では, 東京便の就航は平成12年と想定していたが,根室支庁管内1市4町が一丸となった熱意と,
ANK(エアーニッポン(株))にとっても経営上メリットの大きい長大路線(ANKでは最長)であることから,羽田の発着枠の確保など困難な状況はあったものの、予想より大幅に早く東京直行便の実現を見ることができた。
“ジェット化の実現", “東京便の実現"が地域の活性化に大きく寄与するであろうことは容易に予測できることではあるが, 具体的にどのようなインパクトがあったのかをまとめたものは道管理空港で無いようである。そこで, ジェット化オープン後まだ1年にも満たないため定量的なデータは不足ではあったが,今回,整備効果に関する簡単な聞き取り調査を行ったので以下にその概要を述べる。
<ホテルの新築>
o今まで中標津町内には無かった本格的な都市型ホテル(130人)が作られ,平成2年12月オープン。
oゴルフ場併設のホテル(100人)が, 平成4年6月オープン予定
<ゴルフ場の拡充整備>
o浴室すら整備されていなかったゴルフ場が,ホテルを併設した最新のゴル場に東京資本により衣替えされる。
<地域のプロジェクトなど>
o標津町のさけ科学館を中心とした“サーモンパーク"が平成3年にオープンする。
oスキー揚等いろいろな開発計画が水面下で進行しているようであり,早期に具体化されることが望まれる。
<ハイヤー・夕クシー>
oタクシーの外に今まで無かったハイヤー, ジャンボタクシーが導入されるなと, 売上も増大しているようである。
<空港テナント/平成元年7月28日から新ターミナルビルで営業>
o旧空港にはレンタカーの営業所は置かれていなかったが, 新空港では5店が営業しており,大変好調である。
oレストランも旧空港には無かったが大変好調である。
o売店はJRのキオスク程度のものが旧空港にあったが,新空港では2店が営業しており、比較にならないほど売上は伸びている。
<飲食店の売上>
o旅行会社からの昼食契約等がかなりあるようである。
<避暑地・保養地として>
o川崎市役所と中標津町役場とが保養所契約(本町2力所,養老牛温泉2力所)を結び,平成3
年6月3日を初回として計4回(1回40名)川崎市民が3泊4日の日程で訪れることになっており,売れ行きが大変好調なため更に回数が増える可能性もあるとのことである。
o川崎市内の各種労働団体も組合員に対する福利厚生の一環として上記施設と契約を結び延べ700泊以上の契約が既になされているとのことである。
<合宿等>
o各地で合宿が行われており, ますます利用が増えるものと期待される。
中標津町−スケート
標津町−卓球
別海町一陸上競技
<その他>
・以前よりも, 企業進出の打診が多くなったとのことである。
・地元の人々などによる手作りアイスクリームなとの乳製品の開発,販売も盛んになって
いる。
3 考 察
中標津空港のジェット化供用開姶及び東京便の就航は実質的には平成2年の8月からであり通年供用のデータではないにも拘わらず各種指標は大幅に伸びており, 今後更に伸びることが充分に期侍できる。
空港整備事業が地域にどのようなインパクトを与えるか限られた範囲ではあるが今回調査したのであるが, 収集した資料及び女満別空港(60年4月22日ジェット化オープン)の実績からは次のことが言えよう。
東京直行便の就航(ジェット機による)が地域の活性化のポイントとなる。
道内便がジェット化されても乗降客の伸びはそれほど大きくはならない。
o東京直行便を有する道内の空港は,航空運輸の特性から羽田からいずれも100分前後(80分〜110分)で結ばれており, その差は非常に少ない。これは,首都圏から見ると道内どこの空港でもほぼ同じ距離にあると言うことができ、札幌から遠隔の地にあることがデメリットとして現れない。言い換えると, 札幌から遠い空港ほど相対的に東京直行便の効果は大きいと言える。
おわりに
今回の調査は充分な時間を取れなかったため,物流関係のデータが無いなどはなはだ不充分な拙い報文となったが, 空港整備がもたらした地域へのインパクトの一端は示せたのではないかと思っている。何らかの参考になれば幸いである。
今後の地域の課題としては、
o道内他空港に共通したことであるが, 冬場の需要の落ち込みをいかにカバーするか。o第6次空港整備五箇年計画組み入れられるよう運輸省に強く要望している, 滑走路の200m延伸の実現。
o夏季繁忙期の東京便の提供座席数不足と付加価値の高い農水産物などの首都圏への輸送に対処するためにはB-737では小さすぎB -767導入が必要であるので、それに対応したターニングパット(滑走路末端部に設ける回転のためのスペース)などの早期整備。
o北方領土に最も近接しているという“地の利"を生かした活用。
などであろう。
資料収集に当たっては, 中標津町及び根室中標津空港ビル(株)の協力をいただいた。