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昭和52年度見学会の報告 その2


 「物流問題を考える」というテーマのもとに催された昭和52年度の見学会について,前号(N0. l55号)でその概略を紹介しましたが,今回は,車中で行なわれた五十嵐先生、神代社長, 御二人の講演と, 大谷地流通センター及び札幌市中央卸売市場について, 詳しく紹介したいと思います。
 
 

I.講演「複合流通ターミナルについて」

五 十 嵐 日 出 夫


 北大土木で交通計画をやっております五十嵐でございます。今日は、バスの中で何かお話をという御下命がありまして、さて、何のお話を致そうかと色々迷った訳でございますが、今日、私共があちらこちら見学しております施設は、いずれも流通に関係する施設でございますので、最近よく言われております「複合流通ターミナル」のお話をいくらかさせていただきまして、責任を果したいと思います。
 「複合流通ターミナル」という言葉は、最近よく使われておりますし、また、あちらこちらにそれに類した施設が建設されておりますから、特に目新しい言葉でもございません。 しかし、北海道の場合はまだ本格的なものがありません。例えば、大谷地も複合流通ターミナルというにはまだ整っているとは言えませんので、少し一般的なお話から始め、次に、複合流通ターミナルを道央地区に造るとすればどんな所が考えられるかというお話をしようと思います。
 「複合流通ターミナル」という言葉は、昭和43年7月に運輸経済懇談会物流ワーキンググループというところで出しました「協同一貫輸送にかかわるターミナル問題の検討」という報告書で初めて現われてきた言葉であります。以来、あちらこちらで流通問題が論議される時には頻繁に用いられております。特に昭和30年代から昭和40年代中頃、あるいは後期にかけては、我国の経済成長は非常な激しいものがありました。それに伴い、物資の輸送もこれまた大きくなり、流通問題が大きな話題になってきたのであります。流通問題、特に物流をさばきますのにどのような具合にしたら能率を上げることが出来るか、ということが色々考えられてきたのであります。この解答として、複合流通ターミナルを中心にした協同一貫輸送の考え方が生まれてきました。
 「協同一貫輸送」、この言葉もこの頃からよく言われるようになりました。在来の輸送システムは鉄道であれば鉄道、あるいは、道路であれば道路、船であれば船というような具合に、それぞれの交通機関が単独で一つのシステムを作ってやっておりました。もちろん汽車に致しましても、あるいは船に致しましても、その両端は自動車につながっているのであり、単独で戸口から戸ロヘ輸送する訳にはいきません。ところで、どのようなシステムにおきましても常に問題となりますのは、システムとシステムとのつなぎ目、いわゆる節(node)であります。この節の数をなるべく少なくし、且つ、その節におけるロス、すなわち物流では積替荷役のロスを少なくするということが、物流のトータル・システムを考える場合に最も重要なことであり末す。協同一貫輸送はこの観点から、節のところにおいて能率をあげる、スムーズにするという考えから生まれてきております。一口に言いますと、節の部分を合理化するための施設として、複合流通ターミナルという考え方が出現した訳であります。
 一般に、複合流通ターミナルで取扱われる貨物は、ゼネラルカーゴ(雑貨)でありまして、これがユニット・ロード・システムにより、ドアー・ツウ・ドアーで運ばれるということが要点であります。 また、そのためにドアー・ツウ・ ドアーの間に介在致します交通機関は、自動車はもとより鉄道、船、あるいは航空、またあるときにはパイプ・ラインなどというようなあらゆる交通機関を総動員致しまして、どのような交通機関を組合せて使えば最も能率が上がるかということを熟考し、選択するのであります。特に、最近のこの複合流通ターミナルでは、交通機関と交通機関との間の積替えばかりではなく、荷姿をかえる、混載する、仕分けする、あるいは流通加工をするというようなことが行われます。そういったトランスフォームといいますか、形を変えるということと、トランスファー、運ぶということの2つを兼ね備えたターミナルになっております。
 まず第一の積替えの機能を考えてみましょう。異種の交通機関、また、場合によっては同種でもよろしいのですが、細かい貨物を一つ一つ荷役するよりは、それらを一つにまとめて、パレットに載せるとか、コンテナーに入れて運びますと能率が上がり、また荷役がスムーズにもなります。これが、先ほど申し上げましたユニット・ロード・システムであります。
 このユニットを作るところが、混載の機能を第二にあげている理由であります。
 それから、第三には流通保管機能であります。最近の流通倉庫は在来の倉庫と違い、在庫管理が極めて高度化しました。そこで重視されるようになったのが、この流通保管機能であります。もちろん、普通の配送拠点、あるいはストックポイントとしての機能をも兼ね備えております。
 第四には流通加工機能であります。これはターミナルにおきますシャーリングとかボトリングなどの加工、包装、販売単位への小分け、あるいは多種類商品のセット等を作る作業を複合流通ターミナルで致します。いわば、商品を需要の形態にあった形に直すということをここでやります。
 それから、第五に複合流通ターミナルが持つべき機能と致しましては、情報センター機能であります。輸送機関のスペースの予約であるとか、あるいは宅送貨物の発送・到着情報、あるいは在庫管理等の情報管理機能であります。私どもの全身を血液が循環する場合、神経系統がその循環を統御致します。これと同じように、地域の血液であります貨物は色々な交通機関を中介にしながら流動しますが、それの全体を統御する情報が必要であります。この情報センター機能を合わせて、複合流通ターミナルでは持つということであります。
 繰返して申しあげますと、第一には積替えの機能、第二には混載の機能、第三には流通保管機能、第四には流通加工機能、第五には情報センター機能であります。この五つの機能を合わせ持つようなターミナルを、複合流通ターミナルの理想型と考えております。
 さて、次に複合流通ターミナルの要件をお話ししましょう。第一には、異種の輸送機関が有機的に接続する協同一貫輸送体制のターミナルであるということであります。もちろん、必ずしも異種の交通機関に限りません。例えば、トラックからトラックということでもよろしいのですが、複合流通ターミナルには少くとも積替えの機能が備っていなければなりません。普通は汽車から自動車、あるいは船から自動車、飛行機から自動車、汽車から船というように、異種の交通機関が有機的に接続する協同一貫輸送体制のターミナルであるということが言われております。それから、第二にはゼネラルカーゴ(雑貨)輸送のターミナルであるということ、そして第三には複数のターミナル機能を有するということなどが、複合流通ターミナルの要件としてあげられております。
 先ほど見学致しました大谷地流通センターの場合には、鉄道が入っておりますし、それからトラックが動いております。すなわち、異種の交通機関が有機的に接続する協同一貫輸送体制を取っておりますので、ここに言う複合流通ターミナルの一種ということになります。先ほどの御説明では、流通加工等の施設はまだないということでございますが、これからはそういったものが附加されるのではないでしょうか。やがては、情報センター機能をも整備されるだろうと思います。すなわち、輸送機関のスペースの予約、宅送貨物の発送・到着情報、在庫管理等の情報管理機能も併せて強化されるでしょう。
 このような複合流通ターミナルが設置されますと、それは大きな効果をその地域の輸送にもたらします。まず第一の効果と考えられますのは、輸送機関の合理的な結合を通じて効率的な協同一貫輸送が実現されるということであります。例えば、コンテナーをトレーラーに直接積んで、必要な所に運ぶ、仕分けする、あるいは荷さばきをするなど、ユニット・ロード・システムになりますと運送が非常に便利になります。
 第二には、各輸送機関の間の中継輸送がなくなりまして、コストの節減が計られるとともに、荷さばき施設、保管施設の共同利用が可能になります。これは、先ほど見学致しました大谷地でも同じようなことが見られました。
 さらに第三には、保管機能を併せ持つことによりまして、輸送活動と保管活動の合理的な結合が可能になります。流通倉庫というようなものがそこに介在し、在庫管理はもとより、その他の保管活動と輸送活動が合理的に接続するという効果をもたらします。
 さらに第四には、混載業務、あるいは集配業務の一元化が可能になるということであります。今までは、それぞれの企業が個々別々にやっておりましたものが、業務が一元化され、能率があがるという仕組になります。
 さらに第五には、情報機能を具備することによりまして施設の効率的な利用が計られ、荷主に村する機動的なサービスが提供できるということになります。荷主が運送を依頼した貨物が、いまどこでどうなっているのか、また、どのような交通機関によれば最も早いとかというようなことが、情報センターによって提供されますので、機動的なサービスが期待できることになります。
 さらにまた、流通業者は複合流通ターミナルの利用によりまして、保管、流通加工などを含めた総合流通業者としての機能を発揮できます。最近、総合交通体系の確立ということがよく言われており、北海道の新計画におきましても、この総合交通体系の確立が強調されております。この総合交通体系が確立し、複合流通ターミナルが整備されますと、それに対応して総合流通業とでもいうような業種が生まれてまいります。現在、総合流通業者といいますと、すぐ日通みたいなものを思い出しますが、これより更に広範で合理的な総合流通業者が、これからどんどんと生まれてくるということになる訳です。
 このような複合流通ターミナルと、何か目新しい言葉で言っておりますが、既にそういったものはあちらこちらにあったではないかという疑問が投げかけられるかもしれません。特に港湾は、海運と陸運との接続点であるから、ここにいう複合流通ターミナルなのではないか、今さらこと新しく複合流通ターミナルなどと言う必要はないと言われるかもしれません。しかし、港湾は海運と陸運との接続をまず第一に考えております。いいかえますと、港湾ではどのようにしたら最も海運に対して良いサービスが提供できるかということを第一に考えて築造されております。旧い港湾は陸の方にはほとんど目が向けられておりません。港湾の建設、あるいは計画は、陸運にはあまり顧慮されていないのであります。しかし、複合流通ターミナルは、あらゆる交通機関に目が向けられております。海運はもとより陸運、陸運も鉄道あるいは自動車というような異種類の交通機関をも考え、それぞれの総合的なターミナルとして建設されます。従って、総合交通体系の時代に相応しいターミナルの考え方でということができましょう。そのような意味で、今までの港湾は、形は複合流通ターミナルに似ておりますけれども、考え方は複合流通ターミナルとは言い難いのであります。

最後に立地についてお話し致しましょう。このように複合流通ターミナルは色々な施設を配置致しますから広い面積を必要と致します。それで、どこに設置されるかは、まず第一にそこで広い土地が取得できるかどうかということであります。さらに第二には、先ほどの大谷地流通センターでも見ましたように、道路や鉄道が具合よく按続するかどうかということであります。
 そのような観点から、運輸省は昭和60年を目標に致しまして、全国に複合流通ターミナルの設置計画を立てました。北海道では札幌の近くに一つ考えられております。だいたい人口が50万人程度の都市に一つ、50万人以上では一つあるいは二つを考える構想であります。そこで、北海道には札幌の周辺に一つが考えられました。この計画にのっとりまして、北海道ではさらに具体的な複合流通ターミナルの計画ということになります。そこで、札幌陸運局では道央圏に設置する複合流通ターミナルの計画をやった訳であります。そのロケーションとしましては、ただ今見学しました石狩湾新港地区であるとか、小樽地区であるとか、大谷地をさらに拡張強化するとか、あるいは苫東地区であるとかという具合に、広い土地が取得できそうな幾ヶ所かの場所をあげ、色々と調査しました。
 いずれに致しましても、先ほど申しあげましたような要件と五つの機能、すなわち、積替え機能、混載機能、流通保管機能、流通加工機能、情報センター機能を兼ね備え、この総合交通体系時代に相応しい物流ターミナルとして複合流通ターミナルが検討されているのであります。その輸送のやり方は協同一貫輸送方式であり、ユニット・ロード・システムによる輸送が考えられ、実行されようとしております。
 何か教科書じみたお話で大変恐縮でございましたが、学枚の教師のお話しということでご勘弁願いたいと思います。失礼いたしました。

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