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I T S(高度道路情報システム)に つ い て
札幌圏I T S推進フォーラム事務局
(札幌総合情報センター株式会社)
      金 村 直 俊
1.はじめに

 「ITS」、この言葉になじみのない方は少なからずいらっしゃることと思います。日本語では「高度道路交通システム」といいますが、今この言葉が熱い視線を浴びています。
 先日、ITS 関連 5 省庁、北海道、札幌市、民間企業などが集まり、この ITS を推進するための組織として「札幌圏 ITS 推進フォーラム」 が設立されました。これを機会として、一人でも多くの方に ITS の意義、必要性・有用性を知っていただくために、今回、ITSの概要について紹介させていただきます。
 既に ITS についてご存知の方も、一言で説明しようとすると、なかなか適当な言葉が見当たらないのがITSの特徴といえるかも知れません。
 私なりに言葉を捜してみると、 「最先端の情報通信技術や道路・車両のインテリジェント化技術を用い、人と車が一体となって機能し、道路交通の安全性・効率性の飛躍的向上や環境の改善、運転する楽しさや新たな産業の創出を実現する」ということになるでしょうか。
 ITSの技術開発は、日本はもちろん、欧米を含めた世界的な取り組みです。ただ、それぞれの国(地域)の問題に応じた取り組みがなされており、技術開発の方向も若干異なっています。ここでは日本における ITS への取り組みについて述べたいと思います。
 

2.経 過

  平成7年2月に内閣総理大臣を本部長とする「高度情報通信社会推進本部」が設置され、「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」が定められました。ここから、ITS関係分を抜き出したのが、次のものです。

道路・車両の情報化

 
図1 ITSのシステム概念図。

 最先端の情報通信技術を用いて道路と車とを一体のシステムとして構築し、安全性の向上、輸送効率の向上、快適性の向上を達成し、環境保全に資する高度道路交通システムの推進を図る(図1)。

 
このため、以下のような施策を総合的に推進する。
〔高度情報通信社会推進に向けた基本方針より抜粋、平成7年2月〕
 これに引き続き、平成7年7月には「道路・交通・車両分野における情報化実施指針案」がITS関連5省庁のもと定められています。
 ITS 関連5省庁とは、「警察庁」「通産省」「運輸省」「郵政省」「建設省」を指します。 その 1年後の平成8年7月には「高度道路交通システ ム(ITS)推進に関する全体構想」が、前途のITS関連5省庁により提案されています。
 現在では建設省がITS 推進室を新たに設置するなど、21世紀初頭の重点課題としての取り組みが一層進められています。
 

3.全体構想

 平成8年7月に定められた「全体構想」は表1のようなものです。
表1 ITS利用者サービスの枠組み
用者サービス
開 発 分 野
利用者サービス設定の視点
主な利用者
ニーズ
状況
(1)交通関連情報の提供 1.ナビゲーションシステムの高度化 ドライバー ナビゲーションシステムを用いた移動に関する情報の入手 出発地から目的地までの移動
(2)目的地情報の提供 目的地の選択・情報の入手
(3)自動料金収受 自動料金収受システム ドライバー
輸送事業者
管理者
いったん停止のない自動的な料金のやり取り 料金所での料金の支払い
(4)走行環境情報の提供 3.安全運転の支援 ドライバー 安全な運転 走行環境の認知
(5)危 険 警 告 危険事象の判断
(6)運 転 補 助 危険事象回避の操作
(7)自 動 運 転 運転の自動化
(8)交通流の最適化 交通管理の最適化 管理者
ドライバー
交通流の最適化 交通の管理
(9)交通事故時の交通規制情報の提供 交通事故への適切な対応
(10)維持管理業務の効率化 5.道路管理の効率化 管理者 迅速かつ的確な道路の維持管理 道路の管理
(11)特殊車両の管理 管理者
ドライバー
輸送事業者
特殊車両の通行許可の迅速・適正化
(12)通行規制情報の提供 管理者
ドライバー
自然災害等への適切な対応
(13)公共交通利用情報の提供 6.公共交通の支援 公共交通利用者 交通機関の最適な利用 公共交通の利用
(14)公共交通運行・運行管理支援 輸送事業者
公共交通利用者
公共交通機関の利便性向上
事業運営の効率化
輸送の安全性向上
運行管理の実施
優先走行の実施
(15)商用車の運行管理支援※ 7.商用車の効率化 輸送事業者 集配業務の効率化
輸送の安全性向上
運行管理の実施
(16)商用車の連続自動運転 輸送効率の向上
(17)経 路 案 内 8.歩行者等の支援 歩行者など 移動の快適性向上 歩行者等による移動
(18)危 険 防 止 移動の安全性向上
(19)緊急時自動通報 9.緊急車両の走行支援 ドライバー 迅速・的確な救助の要請 救助の要請
(20)緊急車両経路誘導・救援活動支援 災害現場等への迅速・的確な誘導 復旧・救援活動
業務用車両の運行の管理を対象とする

最大のポイントの一つは、表 1 に示される9つの開発分野毎に設定された20の利用者サービスです。 詳しい説明は省略しますが、これ
らは「夢」の話ではなく、実際に利用者サービスが開始されているものもあります。次に、これらについて紹介します。
 

6.VICS(道路交通情報通信システム)

 これは主にビーコンと車載されたカーナビゲーションシステムを通じて、ドライバーへ道路交通情報の提供を行うものです。これまでも情報版や路側ラジオなどから道路交通に関する情報はえられましたが、設置場所や内容などの制限があり、必ずしも必要な情報が得られませんでした。
VICSの実現により、ドライバーはさまざまな情報を必要なときに入手することができるようになります。
 VICSで提供される情報は、渋滞情報、交通障害(事故・工事など)情報、駐車場情報、所要時間情報、交通規制情報などです。これらの情報を入手したドライバーは目的地までの交通状況が人目で把握できるだけでなく、心理的に余裕を持った運転も可能となるといえます。これがひいては安全運転=事故の減少にもつながります。
 現在、関東、近畿圏の一般道路・高速道路を始め、道内の高速道路でもサービスが開始されています。今後、より一層の全国展開が図られようとしています。
 

7.ETC(自動料金収受システム)

 次にご紹介するのはETC(自動料金収受システム)と呼ばれるものです。 これは、高速道路の渋滞の一因である料金所付近の車両停止をなくすことにより、高速道路の走行をスムーズにしようとするものです。
 ETC 専用の料金所に ETC機器を搭載した車が近づく、とシステムが車両を検知し、料金を通信により記録しドライバーへ表示、発信制御のバーが上がるという仕組みです。
 渋滞が解消されるだけでなく、料金所付近で車が一旦停止することが無くなるので、渋滞混雑時のアイドリングやノロノロ運転によるCO2排出量も減らすことができ、環境にも貢献できると考えられます。
 高速道路での渋滞問題が深刻な首都圏の高速道路で実用実験が開始されています。
 

8.PTPS(公共車両優先システム)
  PTPS(公共車両優先システム)は、バスなどの公共車両を優先的に通行させるシステム。1996年4月から札幌市内の国道36号で実用化に向けた試行が始まっています。光ビーコンとバス搭載装置間での双方向通信を軸に、北海道警察交通官制センターとバス、バス事業者をネットワーク化してシステムが構築されています。
 交通官制センターでは、バスの動きを感知してある信号機の青信号の延長や赤信号の短縮を行い、バスの交差点連続通過を支援、またバス専用右折信号制御も行っています。
 バスへは次の停留所までの推奨速度(停止しないで走行できる速度)、 主要目的地までの所要時間などを光ビーコンから送信、これを社内のディスプレイを用いてバスドライバーまたは乗客へ提供します。
 この試行により、バス運行の定時性が向上し、バスレーンへの一般車両進入が減少。さらに、一般車両の交通量減少などの効果が見られたという報告があります。
 

9.その他

 この他、国レベルで取り組まれているものとしてAHS(自動運転道路システム)やASV(先進安全自動車)などがありますが、今、最も身近なITS技術開発として、インターネット技術を活用した地域高度情報化の取り組みが各地域で行われています。
 

10. 地域版高度情報化

 日本選手が活躍した長野オリンピック。華やかな舞台の影で ITS 技術のデモンストレーションが行われました(長野ITSショーケース)。
 既に述べたVICS や PTPSを始めとして、情報ステーション・道の駅・SA(サービスエリア)・PA(パーキングエリア)における道路交通情報などの提供、 GPSを利用した道路管理車両の位置情報提供 PHS とPDA(個人情報)携帯端末を利用した歩行者へのオリンピック会場内の位置情報などの提供が実施されました。このように長野ITSショーケースでは、関係機関の協力の元、円滑な道路交通確保を支援するため、各種道路交通情報の一元化と共有化が行われました。
 各種道路交通情報の一元化と共有化は、この長野ITSショーケースのほかにも、「道の駅」の情報化が全国各地で取り組まれています。
 「道の駅」は、道内でも見かけますが、一般道路で安心して自由に立ち寄れ、利用できる快適な休憩のための「たまり」空間を目的に建設省が推進している施設です。この道の駅を道路交通の情報ターミナルとして機能を拡充し、さらにさまざまな情報を提供する高度な地域情報ターミナルとして進化させる試みです。
 高知県では「KoCoro(こころ)」と称し、道の駅情報化を核とした高度情報化フィールド実験が行われています。地方建設局・県・市町村・道路公団などの公的機関、民間組織などの情報提供組織または地域住民などから提供される道路交通情報、行政情報、観光情報などを一元化し、これらを道の駅に設置したキオスク端末や PHS、公共情報機器により道の駅ユーザーに提供しようとするものです。情報提供は道の駅だけではなく、インターネットのホームページを活用し、一般家庭のパソコンやVICSなどへも提供されています。
 雪国では、山形県の山形市から酒田市を走る国道 112 号、月山花笠ラインにある「道の駅 月山」における取り組みがあります。この道の駅では月山花笠ラインのうち約25 km区間に設置されたテレビカメラのリアルタイム情報や気象情報がマルチビジョンに表示され、ユーザーが確認できるようになっています。冬期には積雪状況をはじめ、路面凍結、視界不良など、車両通行に直接影響を与える突発的な事象により、最悪道路閉鎖になる場合があります。道路ユーザーがこれらの状況を事前に確認できていれば、安心・安全な通行を確保できるというわけです。
 このような取り組みは道内でも既に行われています。北海道開発局は平成10年度より中山峠、石北峠、日勝峠を含めた道内5箇所の道路路面状況を、電話・FAXに加えてインターネットのホームページ上でも提供しています。気象状況、路面状況に加えて、 ITS カメラによる画像情報が提供され、利用者からは峠越えの不安感解消に役立っているという声が寄せられているようです。
 

11. 終わりに

 ITSについて、かい摘んでご紹介いたしましたが、筆者の力不足で十分に説明できたかどうか心配です。そこで、ITSに関するホームページをご紹介して話を締めくくりたいと思います。インターネットに接続できる方はぜひアクセスしてみてください。
 

■ITS全般について

http://www.nihon.net/ITS/j-html/index.html

http://www.nihon.net/hido/ITS/

 

■ITS関連5省庁

http://www.npa.go.jp/(警察庁)

http://www.moc.go.jp/road/(建設省道路局)

http://www.miti.go.jp/(通産省)

http://www.motnet.go.jp/(運輸省)

http://www.mpt.go.jp/(郵政省)

 

■ITS関連団体

http://www.iijnet.or.jp/vertis/j-homevertis00.htm(道路交通車両インテリジェント化推進協議会)

http://www.vlab-unet.ocn.ne.jp/its-win/kenkyuka.htm(寒地ITS研究会)

http://www.sweb.co.jp/itsf/index.html(札幌圏ITS推進フォーラム)

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