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北海道における幹線道路のあり方

大 島 英 次

前北海道開発局道路計画課開発専門官
現北海道路公団名古屋建設局
長野工事事務所工事長

 

 北海道の道路状況を説明する場合,「広大な土地に人口が散在しており,道外の他地域に比べ道路整備が遅れている」,「広大な土地故に開発可能性を秘めており, これを発揮させるための道路整備が必要である」といった言い方がなされることがある。北海道の現在までの開発を踏まえ,将来の北海道を模索する中で,道路整備の方向について日ごろ思うところを述べてみたい。
 第一点の道路整備が遅れているという観点は,道路延長.道路密度,改良率,舗装率.混雑度といった指標を用いて説明されることが多く,特に面積当り実延長は道外との比較のうえで強調される。改良率,舗装率, 整備率等の今日の水準を見るといずれも全国値に比べ高く, これらの指標からみる限りでは,道路整備が全国並に追いついてきた。あるいは道外の平均的地域に比べ十分整備が進んでいる, とも言える。道路の整備指標には実延長等に基づく量を表現するものと, これに交通量を加味させて混雑度,整備率等の多少なりとも質を表現するものがある。北海道の人々の感覚からすると, いままで述べた道路整備指標からは道路が足りない,道路整備が遅れているという実感は出ないのではないだろうか。
 札幌周辺の日帰り観光地へのほとんどが直線的ルートで結ばれている。積丹へは国道5号,225号経由で神威岬へ102km, ニセコへは国道230号,276号経由で五色温泉まで108km,支笏湖へは主要道道札幌支笏湖線経由でモーラップまで53Km,洞爺湖へは国道230号経由て103Km. ウトナイ湖へは国道36号で54km,浜益へは国道231号で68kmといった具合であり,このことは,釧路,帯広,北見,旭川,函館といった各拠点都市においても共通の整備状況にあると言える。市町村相互を結ぶ幹線道路について隣接市町村とのつながりを見ると. 日高山系,大雪山系を背にした地域を除ぎ,一応ネットワークとして整備された状況にあると言える。さらに連絡道路のない一部の地域においても工事中の幹線道路があり,道路網としての量的整備はかなりの水準に達しつつあると言える。
 質的な整備の面からみると,交通混雑に起因する四車化, バイパス等の二次改築が進められており,もともと地域特性から交通量は少ないため,都市周辺の一部区間を除けば,現況への対応はかなりの程度なされているのではないかと思われる。明治以来百年に及ぶ道路整備の推進により,道外との比較では一定の道路整備が整ったというのが一般的な実感ではないだろうか。
 では, もう一つの開発可能性という観点からの道路整備はどうであろうか。札幌−稚内往復を日帰りしようとする道外の来客者に対し, 1泊2日の行程を助言することがある。また,行けども行けども変わらぬ景色にうんざりといった経験をする。このようなとき北海道の広大さを再認識するのである。しかし,広大さは開発の可能性をもつという点で,またそのこと自体が北海道の魅力であるという点で大切なことであるが,同時に人口が散在し.拠点都市が数の上でも,規模の上でも未発達という状況において,効率性という観点からすべての分野においてネックとなることも事実ではないだろうか。重厚長大から軽簿短少への社会変化に際し,道路整備においてもこれに対応する重点的な整備が必要と思われる。
 道内では10万人以上の9都市を中心として都市部に人口が集中しておりこの傾向は,今後とも大きく変化しないと思われる。反面,これら9都市に稚内を加えた10都市の都市圏境に位置する北火檜山地方の島牧,瀬棚,留萌地方の初山別、オホーツク沿岸の雄武,興部,道東の羅臼,標津,日高地方の様似などの地域においては人口が減少傾向にあり,最寄りの中心都市まで3時間以上を要する状況にある。このことは,依然として道内に日常生活の中で十分な都市機能を享受できない地域が現存することを示すもので,道路整備の一つの方向を示すものと言える。すなわち,道路の役割の一つである時間距離の短縮.走行機能の向上が次の道路整備の方向として強く望まれる点ではないだろうか。
 走行機能の向上のためには高速道路の整備が高く評価されるところであり,現在道内では供用済延長154kmを含め,建設,計画延長併せて1,063kmの早期整備が強く望まれるところである。さらに一般の幹線道路においても,高速道路を補完し走行機能を向上させる質的な整備を進める必要があると思われる。幸いにも北海道においては,市街地部を除き,沿道状況に余裕があり,効率的な事業費の運用により比較的早期に走行機能向上の実現が可能な箇所が多いと思われる。したがって,高速道路整備と連携を図った一般幹線道路整備として,峠部のトンネル化や新規道路による道路網の短路に加え,走行性能を高める幅員拡巾,四車化,市街部のバイパス整備により,可能な限り走行速度を高水準に高めることが,今後の北海道における道路整備の一つの方向であると思われる。

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