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室蘭市の交通体系について

万 代  良 夫


1. はじめに
 昭和49年度の室蘭圏街路交通情勢調査(都市OD調査)結果を基に、昭和50年〜51年度の2ヵ年に渡り、北海道から室蘭圏広域都市計画協議会に委託され、とりまとめを行った室蘭圏都市総合交通体系調査結果から特に、いろいろな問題を抱えている室蘭市を中心とした交通体系の概要について、ご紹介します。

2. 室蘭市の概要
 当市は、噴火湾をカギ状に突出した絵柄半島を要地とする扇状形を呈し、この半島によって、静穏な湾を成し、我国屈指の天然の良港である室蘭港が形成され、明治5年の開港以来、港湾工業都市として今日に至っている。
 本市は、地形的制約より平坦部として利用されている所は、殆どが室蘭港に面する埋立地で、大半が工業用地として、鉄鋼、造船石油関連の工場群の立ち並んだ全国的にも有数な重化学工業地帯であり、この背後に沿って沢地を中心にいくつかに分かれて市街地が形成されている。
 今日、市域の狭い室蘭市から隣接の登別市への人口流出が目立っている。
 尚、本市の市街地の持色としては、蘭西中央地区が古くから港を中心に発展してきた本市の商業々務の中心地で歓楽街も多く、夜ともなれば、色とりどりのネオンがこのまちを美しく色どっている。
 東室蘭地区は、戦後の急速な市街地の進展に伴い、事務所、ホテル、デパート、飲食店などの進出がめざましく、中央地区を凌ぐ勢いで発展している。
 蘭北地区は、美しい噴火湾を望むことのできる高台の住宅地として、最適なところで、この地区に、市としても、将来約7万人収容すべく、2万人収容の白鳥台ニュータウンを始めとして、計画的に住宅地開発が進められている。

表−1

区域 市街化区域 面積 人 口 

昭和50年

昭和60年

昭和70年

室蘭圏

室蘭市

室蘭圏

室蘭市

室蘭圏

室蘭市

室蘭圏

室蘭市

室蘭圏

室蘭市

(ha)

46.230

(ha)

7,970

(ha)

5,320

(ha)

3,510

(千人)

243

(千人)

159

(千人)

319

(千人)

200

(千人)

387

(千人)

223

 

3. 道路の現況について
 本市の道路は、国道36号及び国道37号を骨格として室蘭港沿に配され、これに補助道路が技状に接続した半環状の特異なパターンを呈している。
 今日、これがため、国道に自動車交通が集中し、朝晩のラッシュ時には、各所で渋滞を呈し、所謂、逃げ場のない交通混雑を引き起している。
 加えて公共輸送機関であるバスと鉄道の利用状況が年々減少の傾向にあることが一層自動車交通の増大に拍車をかけている。
 こうした情況の中で、国道36号のバイパスとして、延長8.3kmの室蘭新道が、昭和46年度から着工され、昭和54年度には全線開通の予定となっています。
 国道37号についても、本輪西市街地を迂回する本輪西バイパスの昭和56年度開通を目指して具体的に調査が進められている。
 本市の自動車交通の抜本的な解決を図るため、図−1に示すように幹線道路が行き止まりとなっている半島部先端と蘭北地区の陣屋地区の室蘭港口を結ぶ延長約3kmの白鳥大橋により、環状道路網の形成が必要である。

 

4. 白鳥大橋について
 本市の環状道路網形成の基軸となる白鳥大橋は、自動車交通の緩和に資することは勿論のこと土地利用面からも、蘭北地区や隣接の伊達市と短絡し、既成市街地及び臨海工業地帯と有機的に連絡することにより、各地区を相互に補完し均衡ある発展が図られ、港湾工業都市としての一層の飛躍が望まれる。
 更に、白鳥大橋は、都市のシンボルとして、観光開発にも大きな役割を果すことになる。この橋の調査については、早くから北海道開発局、北海道、日本道路公団、室蘭市など関係機関が一体となって進められてきている。これまでの調査で、橋のタイプ、橋の機関別利用交通量、工事費、有料々金と償還計画との算定、周辺道路の整備計画など技術的見地、経済効果からの総合的な検討がなされ、本年度は、陸上部門の地質調査が開始されている。
 橋の建設方法については、経済効果面から暫定2車線施工などが考えられ、それぞれについての建設投資額が検討されている。

表−2 概算工事費〔単位:百万円、昭和51年度価格〕

  完全4車線 分離4 車線暫 定施工
  一括施工 一次施工 二次施工 完 或
工事費

31,179

(100%)

20,197

(64.8%)

16,073

(51.6%)

36,270

(116.3%)

(昭和51年度白鳥大橋関連調査報告書:北海道開発局)

 

5. 自動車交通パターンの変化について
 室蘭圏域の昭和49年度都市OD調査結果による自動車交通パターンについては、図−3、図−4に示す通りである。
 ここで、昭和46年度OD調査結果と比較すると、全車で、165千台/日と187千台/日となっており、約1.13倍の伸びを示している。また、交通形態別にみると、圏域内におけるトリップ数の構成比は、9%から13%に増加している。
 これは、総体的に自動車交通の形態が圏域内の活動に比べて、域外との結びつきが強くなってきていることを意味している。また、室蘭圏域内についても、都市部および、市街地部が、実数で減少しており、効外部で、乗用車40%の増加となっている。これも、室蘭圏の市街地形成が、効外地に伸びている現象と一致している。  

6. 将来交通量と道路容量について
 総トリップ数の推計に当っては、(1)保有台数とトリップ原単位による推計 (2)既存資料並びに他圏域のパーソントリップ調査から、本圏域のパーソントリップ値を想定し、これにより推計 (3)発生集中モデル式による推計の3つの方法で検討したが、いずれも、10%以内の差で、交通計画上、安全側に立って、やや大きめのトリップ原単位から算出した値を採用した。
 分布交通量の推計については、重力モデル式を採用した。これは、オポチュニティモデル、重力モデルとも現況解析の結果、精度的には、大差はないが、スクリーンラインの交通量の比較では、重力モデルが良好な結果を示していることと、橋の有無によるゾーン間の距離の大きな変化に対応し得るためには、ゾーン間の交通抵抗の変化に鋭敏な重力モデルが適するからである。

表−3 室蘭圏将来総トリップ数

年次

総トリップ数

伸び率

昭和49年

169,281

1.00

昭和55年

304,900

1.80

昭和60年

380,700

2.25

昭和65年

425,800

2.52

昭和70年

468,000

2.76

次に、将来の道路網計画のうち幹線道路の年次設定については、表−4に示す通りである。

表−4

 

昭 和 55 年

昭和60年以降

北海道縦貫自動車道

一部(苫小牧−室蘭東インター)

全線あリ

室蘭新道

あ リ

あ り

本輪西バイバス

な し

あ リ

白烏大橋

な し

あ リ

 交通量の配分については、容量制限付分割配分法による4分割で、分割率は、3/8、2/8、2/8、1/8とした。尚、白鳥大橋を通過する交通量の推計に当っては、有料を前提とし、乗用車、貨物車とも、300円/台とした。
 これは、北海道開発局を中心とした別の機関で詳しく検討された中で、標準的な数値を用いた。
 因に、図に示す中央町〜伊達市街地の区間で、白烏大橋から得られる自動車1台当りの便益は、日本道路公団方式により、表−5の如く、乗用車200円/台、貨物車350円/台と試算されている。

表−5 (円/台)

車 種 ケース 時間費用 走行費用 合計 料金 備考

橋なし 656 444 1,100    
橋あり 461 336 797    
使 益 195 108 303 200 (66%)

僑なし 990 980 1.970    
橋あリ 687 730 1,417    
便 益 303 250 553 350 (63.3%)

(昭和49年度幹線道路整備計画調査:北海道開発局、北海道、室蘭市)

 この300円/台の料金を時間換算値で換算し、経路探策におけるリンクの時間値に附加して白鳥大橋の利用交通量を算出したものである。
 配分結果を要約すると、昭和55年の橋なしのケースでは、半島部中央部から本輪西に至る区間のほとんどが容量不足となる。
 昭和60年以降、橋ありのケースによる道路網計画では、昭和70年において、東室蘭地区の国鉄室蘭本線を横断する3本の道路容量60,800台/日に村し、計画交通量113,000台/日と1.85倍の容量不足が目立つ以外、基本的に解決され白烏大橋が有料であっても、その果す役割は非常に大きい事が示された。

表−6 白鳥大橋利用交通量

年 次 利用台数(全車)
昭和60年

昭和65年

昭和70年

14,222 台/日

18,425

24,549

 

7. 総合交通体系の検討について

 モータリゼーションの急速な進展に伴う交通混雑の激化、環境の悪化、バス等の公共交通機関の衰退を基本的認識として、総合的な交通体系の検討の必要がある。

(1)道路網体糸について
 昭和70年を目標とした交通量の需要予測に対し、これまでに記した通り、白鳥大橋を中心とした道路計画が完成すれば、東室蘭地区の鉄道横断個所を除き、ほぼ基本的に、満足することが判明した。 従って、3個所の横断個所については、地形上新たに、道路を導入することは、困難なことから、国道37号を中心とした現道の拡幅について検討する必要がある。

(2)大量輸送体系について
 国鉄については、他都市に比べて運行サービス(室蘭一東室蘭間80往復)が密にあるにもかかわらず、過去10年で半滅しており、大量輸送における分担機能が低下しているが、今後、特にラッシュ時における通勤交通を主体として、機能強化と利便性向上について、検討する必要がある。バス交通については、利用客が、現在の約85,000人/日から、昭和70年の約160,000人/日と大幅な需要量の増加が見込まれることと、白鳥大橋によって、輸送体系が環状型に変化することなどから、これに即応した効率的な運用、サービスの向上を図るため、バス路線系統の再編成や運行形態の改善、鉄道駅とバスターミナルとの有機的な連絡並びに、バス専用レーンの交通規制等の総合的な検討が必要である。
 新交通システムについては、需要交通量の面から、鉄道、バスの既存の交通システムの他に、新たに大量交通機関の早急な導入は必要とする程大きな問題が含んでいないので、長期的な観点に立って、エネルギーの制約、環境の保全、交通サービスに対する市民意識の変化等の諸条件の動向によって、判断すべきものと考えられる。
 尚、図−7、表−7は、昭和49年〜50年度の2ヶ年に渡り、運輸経済研究センターにて、室蘭市の交通計画の調査がなされた中で、新交通システムの導入が考えられるルートと一般的性格について表示されたものである。

図−7導入路線案の提案過程    

(導入の発想) (路線パターン) (地域イメージ) (路線案)
最も需要の多い地域に導入

V字型

室蘭−東室蘭−本輸西を結ぶ

A案

広域交通手段としての位置づけ

環状型

白鳥大橋,36号・37号を利用しての環状線

B案

新住宅地のサービスを考慮

串ざし型

白鳥台等の新住宅地を串ざし36号線沿案と結合

C案

表−7 導入が考えられるルートとその一般的性格

  A 案 B 案 C 案
2路線長 12km 23km 19km
3需要面 最大需要地域を通過するので効率がよい。 需要に最もオーソドックスに対応できる。 新住宅地住民の需要が期待できる。
4採 算 面 採算性が最もよいと思われる。 A案に附加した部分の問題がある。 採算性が最も期待できない。
5物理的側面 国道37号沿いの問題。

市街地中心部の建設問題がある。

国道37号.本輪西バイパスの問題がある。

又白鳥大端に敷設する場合あらかじめ設計の段階で考慮する必要がある。

東室蘭−白鳥台間の土地の起伏の問題がある。
6環境面 市街地における景観・日照権の問題がある。 同 左 同 左
7そ の 他   白鳥台の需要に必ずしもうまく対応できない。 新住宅地を通過するため住民サービスに寄与するとみられる。

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