世界一の雪山を築いて (大谷地地区雪堆積場)
札幌市 高宮 則夫
□ はじめに
昨冬は12月から連日の大雪、市民も我々も休む暇なく除雪で明け暮れた年であった。12月の降雪量257cmは観測史上最大、1月8日には市内平均 50cmの豪雪(北区で87cm)、 2月10日には積雪深136cmで史上最大と連日記録の更新、最終的に3月末での累計降雪量は668cm(平年値473cm、過去最高637cm)で観測史上最高を記録した。我が白石土木事業所も初冬12月ら連日雪処理に追われながらも、年末までに幹線道路の除排雪を終えて何とか正月を迎えたのもつかの間1月8日の豪雪を迎えた。「また、振り出しに戻りました」と我が職員。この日、私の住んでいる所ではバスが全面ストップ、マイカーも出せない道路状況。私は職業柄というか立場上?意を決して地下鉄駅のある麻生までの5kmを歩いて出勤した。地下鉄とは本当に便利であると感じた。
我が事業所では運搬排雪を今までで最も早い12月20日から実施し、3月初旬までに幹線道路123.5kmで約71万m3を運搬排雪した。昨冬は各区で堆積場の確保に大変苦労したが、幸運なことに白石区は、市内最大で24時間使用できる「大谷地雪堆積場」を確保していたことと、区内に未利用の公共用地が幾つかあったため、比較的雪堆積場の確保に問題がなかった。 12月から3月中旬までの間に、この大谷地雪堆積場に、ダンプトラックで約21万台、量で約216万m3の雪が搬入され、高さ30m、面積10haの「世界一の雪山」が築かれた。
今回はこの会誌で会員の皆様方にこの雪山情報を提供いたします。
□ 雪堆積場の不足
豪雪の後に来る仕事は、運搬排雪作業である。
幹線道路の排雪、民間の駐車場や敷地前等の排雪、そして昨冬特に増えた生活道路の市民排雪等で、全体で2,690万m3の雪が市内72箇所の堆積場と融雪槽2箇所に搬入された。この数量は到底既設堆積場での処理は不可能であり、1月中旬に急遽既設堆積場の拡大を6箇所、新規堆積場を27箇所確保して昨冬の排雪に対応した。
(1)堆積場の内訳を示すと
既設堆積場(45箇所1,910万)、新規(27箇所715万)、融雪槽(2箇所65万)
(2)搬入種別内訳(推定)を次に示す。
公共搬入 ・・・・・ 600万m3 (23%)
市民排雪 ・・・・・ 570万m3 (21%) パートナシップ・市民助成トラック制度
企業・事業者 ・・・・・ 1,520万m3(56%)
□ 大谷地雪堆積場
ここの用地は東部市場整備計画の見直しで未利用の土地を昭和63年から雪堆積場として借用してきた。この堆積場は大谷地流通団地の東側に位置し住宅地とも離れているため、運搬車両の騒音問題がないため24時間の使用が可能であり、また周辺が幹線道路に囲まれているため非常に利便性の高い堆積場である。しかしこの地区の再整備計画が今年策定されることから、5年以内には撤退することとなる。このためこれに替わる堆積場の確保が必要となっている。
1)堆積場の概要
・開設期間は12月13日から3月18日まで。(搬入出路の状況で閉鎖)
・敷地面積は6haで開設、昨冬は隣接の駐車場用地を使用して10haに拡大。
・堆積容量として100万m3を予定。昨冬は最高の216万m3を堆積した。
2)過去の堆積状況
平成3年からみると平成5年の98万m3が最高であった。
3)昨冬の堆積状況
この堆積場に連日24時間フルに雪が搬入された。
日中は民間や市民排雪、夜間は公共側による大規模排雪の搬入であった。
一日平均 2万m3、1月の最大時には 4.5万m3が搬入された。
3月18日の閉鎖までに 216万m3が搬入された。
・搬入状況は、1月中旬で当初予定の100万m3に達した。
12月に41万m3、1月 95万m3、2月 59万m3、3月 21万m3
・搬入内訳は、公共側の排雪が 76万m3(35%)、民間・市民排雪で
140万m3(65%)となっている。
・搬入車両台数は、累計でトラック約21万台が搬入した。
□ 融雪作業
積上げた後は融解作業、4月から216万m3の融解作業を開始した。この雪山が全て溶けたのは7月29日の夕方であった。経費として積上げ作業に雪m3当たり40円、融解作業に20円で計60円をかけて、世界一の雪山を処理したのである。この雪山に約1億円強の経費がかかった。これまで時間を要した理由としては、堆積量が例年の倍であったことが第一要因で、更に5月以降あまり温度が上がらず、かつ冷夏であったことも大きく影響していたが、7月の第4週目から一気に、約10万m3の残雪が溶けた。これからの作業は雪と一緒に搬入された生活系ゴミ(タイヤ・自転車等)と事業系ゴミ(木片・建築資材等)を集めて処理し、敷地を整地して8月末までに完了予定。
□ さいごに
雪堆積場の不足が札幌市の雪対策の大きな問題と言われている。私の経験から堆積場の不足という問題をあまり実感しなかった。それは白石区の郊外に雪堆積場として使用できる公共用地が幾つかあること、また緊急的に使用可能な公園があることであった。昨冬は実際にこれらの公共用地を緊急的に堆積場として使用した。今後はこれらの用地を転用して恒久的に堆積場として確保する必要がある。市内にはまだだ堆積場として使用可能な用地がある。戦略的に雪堆積場を確保する強い計画の立案と実施施策が今求められている。
今後の雪堆積場について幾つかの提言をしたい。
1)昨冬のような豪雪や緊急時に対応できる雪堆積場の確保が必要である。
・公共用地・遊休地等を事前に手当しておく。
・公園などの用地を緊急時に使用可能とする。
2)恒久的堆積場の確保が必要である。
・河川や一時的堆積場としての箇所が多すぎる
・郊外にある公共用地を転用させて恒久的堆積場として整備すべきである。
3)雪堆積場の都市計画的位置づけ
堆積場は一時的もしくは臨時的施設としてまた迷惑施設的に考えられ、
その施設整備に本格さが見えない。このためには堆積場を都市施設として
位置づけを明確にして、積極的に整備する必要がある。
4)搬入してくる事業系の排雪は有料化
昨冬で事業系の雪が 約1,520万m3搬入された。
現在堆積場での1m3当りの雪処理に 60円を要している。
事業系のゴミと同様に有料としてその収入を堆積場の管理費や用地買収費
に充当すべきである。
5)冷熱源としての利用
昨冬で 2,690万m3の雪が堆積された。毎年この雪を単に自然熱で融解させ
ている。堆積された雪を冷熱源として捉えるならば相当なエネルギーとい
える。積上げては溶かす繰り返しでは全く脳のない作業である。
堆積された雪を冷熱源として生かす方法を検討する必要がある。
以上、今回の報告は私の少ない経験から私見を交えたものであることをご了承願いたい。