City of London Festival出演報告
6月29日、羽田を早朝に出て関空経由でロンドンへ。City of London Festivalという、金融街のCityが主催の、一ヶ月くらいの間地域一帯で様々なイベントが行われるフェスのプログラムの一つとしてライブをすることになったのである。今回は僕と高遠彩子の他に高木光介にフィドルとマンドバンジョーでのサポート、スペシャルゲストで民謡の木津茂理さんに同行してもらい、四人での渡英となった。
前の晩徹夜したので機内ではよく寝れた。でも12時間は寝ていられない。見逃した映画「寝ずの番」を見て笑う、笑う。いいなあ下ネタ。大好きだ。
夕方ヒースローに着く。今回、労働ビザはないが仕事をしても良いという書類が出ており、入国審査でそれを見せるように言われていたので見せたのだが、僕と高遠の担当はなかなか通してくれない。「バンドか。ドラマーは誰だ?シンガーはお前か」とかフレンドリーなのだが、帰りのチケットや金は持ってるか、とか細かい。書類が印籠になってえらそうに入国するつもりだったのにさ。光介と木津さんはすんなり通ったが。
なんとか入国審査を通って、太鼓など大量の荷物を引き取って出口へ。相変わらずここの出口はインド人が多い。
出口ではコーディネーターのユキさんが待っていてくれて外へ出る。やがてポール・フィッシャーがバスを運転して登場。16人乗りの大きな車だが座席がたためないので楽器を積むのが面倒くさかった。
一路ロンドンへ向かうがかなりの渋滞。でも沿道に見える家やアパートの窓にイングランドの国旗が飾ってあったり、車も旗をつけて走っていたり、ワールドカップの雰囲気が見れて楽しい。
着いたホテルは、ロンドンでは新しいタイプのビジネスホテルって感じのIBIS HOTEL。ライブ会場にも近く、地下鉄駅も近くてまずまずのロケーションである。日本だとこのあと「食事でもしましょうか」ということになるが、「それじゃあ、また明日」とあっさりと解散。部屋はまあまあ広くベッドはダブル。
ツインだったら男部屋女部屋の二部屋で済むのに、ダブルだから四部屋使う。もったいないが、ま、いいか。
僕の部屋はカードキーがうまく書き込まれてなくて開けるのに苦労する。しかも僕の部屋だけドアをひとつ開けると中に二部屋あって、またドアを開けなければならない。あとからもうひとつの部屋には韓国人の女の子二人が入ってきて、やはり開けるのに苦労していた。使いづらいぞ、このホテル。
さて、晩飯を食べに四人で外へ出る。高遠が今回自作のフライヤーを持ってきていたので、ライブ会場のThe Spitzの入り口にちょいと貼る。そしてバングラデシュレストランの並ぶ通りへ行く。光介と木津さんがベジタリアンなのでインド系の料理が一番いいのだ。いろいろ迷って一軒の店へ。前祝いのディナーをとる。食後、高遠はここでも壁にフライヤーを貼るアヤシイ東洋女になった。
6月30日。朝食はホテルでコンチネンタル。野菜が少ないが、まあまあかしら。去年泊まったところではノーチェックで誰でも入れる感じだったが、ここではルームナンバーをチェックされる。
10時過ぎにポールたちが迎えに来てくれて、まずはリバプールストリート駅へ。13時からフリーライブをするのだ。車は駅の裏から業者っぽく入場。この駅は地下鉄も走っているが鉄道の始発駅で、いかにもヨーロッパの始発駅の雰囲気だ。ロンドンタクシーもいっぱい停まっている。
裏から入ったのに結局外へ出てライブをするところへ。道路から駅へ入っていく広場のようなスペースの一角に臨時のステージが作られている。さっそく楽器のセッティングを始めるが、控え室がないことが判明。女性たちは衣装に着替えなければならないのですぐに徒歩でホテルへ戻る。
で、セッティングしていたらモニターがない!! 「オレも確認したんだけど、いらないって言われたんだよ」とエンジニアの兄さん。カラオケ使うのはわかってたのにい。
急きょ手配することになったが、開演時間に間に合わず、モニターなしでライブはスタート。しかも、女性陣は道に迷ってまだ会場に着いていない。
フィドルの高木光介と僕はステージ裏で着替え、予定外のセットでスタート。光介のオールドタイムの曲と太鼓のセッションから始めて時間かせぎ。そういうところは臨機応変ができるセットにしておいてよかった。
2曲目から高遠が到着してそのままステージへ。バタバタとはじまり後半にモニターが到着したが、さすがにロンドンのエンジニアは慌てず騒がず仕事してくれた。一時間の予定だったが、途中でモニターをつなげるのに休憩したりしたので結局2時半頃にフリーライブは終了した。
この日ロンドンはあいにくの猛暑で30度以上。ほとんどの人が電車や地下鉄に乗るために足早に通り過ぎるわけだが、それでも多くの人が立ち止まって聞いてくれてうれしかった。ちょうど里帰りしていたピーター・バラカンさん一家も駆けつけてくれて久しぶりに顔を見る。「こんなとこで会うなんてねえ」と奥さん。休憩中には「CDないの?」というイギリス人がいたんだけど、日本語うまくて「フジロック出ないの?」とか言ってた。通りがかったみたいだったけど日本オタクっぽかった。
ロンドン初ライブはまずまずのスタートで、こんなのなかなかないから、やってて面白かった。
木津さんは着物だったし、高遠も和風模様のワンピースに振り袖はおったりして気合い入れた衣装だったので写真もいっぱい撮られてたし。
僕と光介は烏帽子をかぶって羽織を羽織る田舎の祭りの雰囲気なので四人並ぶとかなりアヤシかったろうけど、ロンドンまで行って中途半端もつまんないからね。
さて猛暑のロンドン、真っ昼間のリバプールストリート駅でのフリーライブ終了後、メンバーはホテルへ戻り一休み。また夜9時からライブなのだ。
僕だけ楽器をライブ会場のThe Spitzへ運ぶ。古いマーケットにある古い建物の二階だが天井が高いので高さとしては三階くらい。
エレベーターが故障していたので楽器を階段で運ぶことになり、「こりゃ二階じゃないよ〜」と悲鳴を上げた次第。
しかも鍵が開いていない。鍵が来るまで一階で待機、生ビールで喉を潤す。Spitzの一階はレストラン&バーなのだ。ロンドンの物価は高いけど、生ビールはそれほどでもないのが救いだ。
ようやく開放されてホテルへ戻る。昼寝でもしたいところだが、ワールドカップのドイツ対アルゼンチンが始まっている。寝てられない。
ポールからは会場入りは試合が終わってからでいいと言われていたが、PK戦と決まったところで会場へ。楽屋は一度外へ出て階段で上へ上がるのだがそこが天井裏になってってステージが見下ろせる面白いつくり。
心配だったエンジニアとのコミュニケーションもバッチリで、リハもサクサクと進みいよいよ開場。
だが、お客さんが3人しかいない!! 心配していたら開演間際にぞくぞくと入ってきて一安心。やっぱ下で飲んでたのかしら。
客層としてはけっこう年齢層が高くて耳が肥えていそう。
まずは高遠彩子との二人で『ひねもす』の曲を中心にファーストセット。熱心に聞いてくれているのがわかる。
休憩をはさんでセカンドセット。ここからフィドル&マンドバンジョーの高木光介と民謡の木津茂理が加わり曲は民謡ベースと神楽ベースのものがメインになる。木津さんのソロコーナーも受けていた。
お客さんは40人ほどで多くはなかったが熱い拍手をもらった。日本より長くてなかなかやまない感じで、これはちょっと快感。
みんな喜んでくれたみたいで無事にライブは終了した。
Van MorrisonのプロデューサーなどをしているというMick Glossopという人が見に来てくれて、西洋と東洋や伝統とモダンををうまく融合させていて良かったと評価してくれたんだけど、ポール・フィッシャーに「ここ一回しかやんないの?もっとやればいいのに」と言っていたのが嬉しかった。
それとフェスのスタッフも喜んでくれたのでホッとした。ポールの顔も立ったしね。
8月になってネットにライブレビューが出たという知らせが来た。ドキドキしたがまずまずの評価で一安心したところである。
そのレビューはここ
(三上敏視)
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