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おひらきまつり2000

 今年も恒例の伊勢・猿田彦神社のおひらきまつりにモンゴロイドユニットが出演しました。 今回は昨年のメンバーに加えて民謡界から太鼓の木津茂理さんが参加してまたまたグレードアップ。 メンバーは細野晴臣、雲龍、浜口茂外也、皆川厚一、鳥居誠、福澤もろ、高遠彩子、木津茂理、三上敏視でした。

 前日夕方にメンバーは伊勢に集合。モツ(浜口茂外也)さんは昼頃に伊勢に入りすでに神宮の外宮を参拝したという事で、すっかりなじんだ様子。残りのメンバーは名古屋から同じ電車だった。
 食事の後、猿田彦神社の大広間でリハ。例年だとちょっと音合わせをするだけのリハだけど、今回は少し「練習」っぽくなったが、今回はなんといっても「AIWOIWAIAOU」をやるということで、エレキギターをかついできたのでそれが楽しみだった。「MEDECINE COMPILATION」の中で一番好きな曲だったので、やると聞いたときはコーフンした。細野さんの音楽世界についてはみんなそれぞれ思うところがあるだろうけど、今の僕にとって一番なじむのがこの曲の「アニミズム〜シャーマニズム」の世界だ。特にこの曲はCDではテクノの上にニューオリンズはあるし、ファンクはあるし、アフリカはあるし、僕にとってはシンプルなのにゴージャスな一曲だったのである。
 大広間に簡単なPAをセットして床の間付きスタジオ状態でのリハはこの曲に費やす時間が多かったが、それでも2時間ちょっとだっただろうか、残念ながら細野さんのベースは入れないことになったが、木津さんの太鼓が加わってリズムはすごく面白くなった。
 ホテルに戻ると「カフェ・アズマ」の開店である。コーヒー好きの細野さんのために東君がキャンプ用のコンロでお湯を沸かし、コーヒーをいれる。東君のシングルルームに全員集まってダベる。モツさんとか僕は酒派なのでビールやら日本酒を飲んでなんだかんだ2時頃まで話した。みんなけっこう博識なので会話は面白い。
 翌朝はみんなで伊勢神宮の内宮に参拝しようということで11時前に出発。雨の降る中お参りをした。雨の内宮も杜や山がかすんで美しい。おかげ横町でモツさんと僕、そして皆川さんと鳥居さんはお約束の地ビールを飲む。この四人がモンゴロイドユニットの酒飲みである。伊勢の地ビールは安くて美味しかった。
 ステージでのリハーサルはほぼ予定どおり始まった。雨のため、運動会の本部に使われるようなテントが立てられてその下での演奏となる。リハの頃は雨はそれほど降っていなかったが太鼓関係の楽器は湿気て大変だ。木津さんは持参のドライヤーで太鼓を乾かさなくてはならなかった。
 本番の頃、雨は本格的になってきた。スタッフはステージまで運ぶ楽器をビニールシートでくるむ作業で忙しい。楽屋からステージまでの間にちょっとだけ外に出なければならないので雨がなければやらなくて済んだ作業でまったくご苦労様である。
 出番直前にカエルが鳴きだし、嬉しくなった。虫の声、雨の音、火の音など、自然のSEだらけで演奏はそれに乗ればいいだけというありがたい環境である。いつもの即興演奏からステージは始まった。今回はこの即興は短めにということでディジュも短めに吹いた。あとで聞いてみると1分くらいしか吹いていない。ちょっと短すぎたかなと反省。二曲目の「ルーチュー・ガンボ」では細野さんのギターの音が外に出ていない。でも後で録音を聞いてみると、これはこれで面白い音になっていた。
 「AIWOIWAIAOU」から「ハスクリア」「BIRTHDAY SONG」とそのあとは順調に進む。雨はけっこう本降りでテントとテントのつなぎ目の下にいた僕と細野さんのところには雨漏りがけっこうあったが、お客さんと比べれば楽なものである。申し訳ないけれど「雨もまたいいものだなあ」と思いながら演奏させてもらった。
 演奏後に、今回の特別ゲストであるアイルランドからのリアム・オ’メンリー、スティーブ・クーニー、ニーヴ・パーソンズを招聘しているプランクトンの川島さんから「メンバーがすごく喜んでいて、自分たちのステージで何か一緒にやりたいと言っている」との申し出があり、「喜んでやりましょう」ということになった。なんと細野さんが「ベース弾いてもいい」ということで、いちどは消えた細野さんのベースがここで復活。スタッフには申し訳なかったが急きょベースアンプなどステージに運んで回線を確保してもらった。何があるかわからないからベースをホテルに置いておかないでと頼んでおいて良かった。
 リアムたちとは三曲一緒にやりたいという事になったが、細かいことはなにもわからず、とにかくステージに上がる。一曲目で細野さんがベースで僕がウクレレ。モツさんがスネアで、鳥居さんがバリのシンバル楽器チェンチェンに皆川さんがバリの太鼓クンダン、木津さんが和楽器の手平鉦など、アイリッシュとの共演として超珍しい取り合わせとなった。リアムはロック系のヤツなので乗りまくっていたようだ。それにしても細野さんのベースはすんごいグルーヴを出していた。一曲で疲れたといってベースはやめたけど、かなり長い時間弾いていたのではないだろうか。ホントに打ち合わせなしのぶっつけの共演だったが、こういうのがミュージシャン冥利に尽きるというもので、お客さんも喜んでくれたようだが、やってるほうはもっと楽しかった。どーもすみません。この日もホテルに帰って「カフェ・アズマ」福澤もろ氏が手相を見たりしながらダベる。
 翌日の猿田彦神社の祭典で拝殿に上がっての奉納演奏は細野、雲龍、福澤、三上といういつものメンバーで行ったが、前日の即興部分が短かったせいもあったのか、新鮮な気持ちで演奏できた。これこそほとんど打ち合わせナシだけど、もう長年やっている仲なので、まるで打ち合わせたように演奏が展開していって楽しかった。15分くらいやったらしいけれど短く感じたし、あと10分くらいはやりたかったという感じだった。
 メンバーはこの日の午後帰っていったが、僕はフォーラムの行事に残り、翌日リアムたちの大阪バナナホールでのライブを見た。そこには元ネーネーズの古謝さんが来ていて、もともとスケジュールが合えば古謝さんとの共演も考えられていたらしい。今回のリアムたちの来日は猿田彦大神フォーラム事務局の和泉氏の発案で実現し、それに付随する形で東京と大阪のライブが組まれたのだが、バナナホールでのライブでは和泉氏のリクエストでリアムがトラディショナルを歌った。実はこのトラディショナルが沖縄の古い歌と酷似しているもので、楽屋で古謝さんとリアムの歌の競演となり、両者が驚いたり感激したりという一幕があった。

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