エッセイA亜本屋通信からの再録です。

ピン・アップ・アート

松原成樹

いつ頃からだろうか、仕事部屋のいたるところにベタベタ画ビョウで美術雑誌からの複

製画、新聞からの写真、子供のいたずら描きなど、装飾を意図せずに貼りだしたのは。

レインコートを頭から被ったジャコメッティは、新聞の切り抜きで、もう醤油色に近く、何が

写っているか当人しか分からない。美術雑誌から切り取ったルオーの「パッション」、ブラ

ンクーシ、イサム・ノグチの制作現場。

めったに眺めることもないのに、どうしてこうも壁面を埋めていかなくてはいけないのか

訝る時もあるが、あの時、その時にはたしかに ピン・アップしたくなるひとたち、ものが

自分にあったひとはたしからしい。

購った本も次から次へ古本屋さんに持っていかなくてはならなかった二十代の頃、ア

ンダーライン、切り取りは厳禁だったので、画集から一枚の複製画を切り取るにはか

なりの勇気が必要だった。

そうまでしてピン・アップしたくなる心情。 高校生などがアイドルの水着写真を個室に

貼るのと似ていそうだ。自分の仕事(勉強)を支えてくれそうな、進軍ラッパの様に「お

まえは何をやっているのか」 と元気づけてくれる、そんなものかと思ってみたりもして

います。ただ、こちら側に見えるものがなくては、それこそ装飾、ただの印刷物になっ

てしまうことは確かなようです。 1990.6月号より

遠い記憶の陶物画 1999.5.1〜5.30 ガレリア・セラミカ

松原成樹展

松原成樹氏は陶芸家。北広島市の工房楓窯で制作しております。岩見沢市の
こぶし窯で修行をされた後、自分の窯を持って20年になります。生活雑器など
注文で作りながら、個展・企画展にも積極的に参加しています。最近は陶であ
りながら、モランディのフォルムを再現して、静物画ならぬ陶物画というものを
作製しております。

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