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神楽のかんたんな解説   

   神楽(かぐら)は民俗学で分類されている芸能のひとつで、世界に類を見ない数の多さと多様な姿で存在している日本の呪術的な神事芸能、民俗芸能である。
都市部ではいま、祭りというと神輿や山車のイメージを持つ人が多いと思うが、全国には実にさまざまな形で祭りが行われている。そして神楽はその基本的な存在として、
例えば宮崎県だけでも三百以上あり、全国ではその数は三千とも五千とも言われているのである。

    現在行われている神楽は「五穀豊穣の祈願や感謝」を目的としているという説明が多いが、神楽の語源は神が降りてくる依代(よりしろ)を神座「かみくら」と呼び、
それが「かむくら」「かぐら」と変化したというのが定説になっていて、かつては神懸かりして「神託」を受けることが祭り-神楽の大きな目的だった。
 各地に残る神楽は中世に起源を求めるものが少なくないが、ほとんどの神楽が今の形に落ち着いたのは江戸時代以降だと考えられている。
その形を簡単に言うと「神を迎える祭場を作り」「祭場を浄め」「神を招き」「神を慰撫し」「神と共に飲食をし」「神託をもらったり祈願を行い」「神を送り返す」というのが基本的なプロセスになっている。
  神仏分離や神道の国家神道化、神がかり禁止など、明治維新でかなりの変容を迫られた神楽だが、これにつながる祭祀は太古から行われていて、神を招いて歌い踊ったシャーマニスティックな「神遊び」や、
太陽の復活に魂の再生を重ねて祈った「冬至まつり」、神道の「鎮魂祭」などに、
各時代に渡来した宗教の祭祀文化の「おまじない」や、地域それぞれの土着的で個性的な信仰が混ざり合って、百花繚乱の様相を見せているのが現在の神楽なのである。

   神楽の定義や分類は民俗学でもまだ確定しておらず、便宜的に「巫女神楽」「採り物神楽」「湯立神楽」「獅子神楽」という分類があるが、これらの要素は混ざり合っているものがほとんどであり、
別の捉え方として「霜月祭り系」と「奉納系」に分ける説もある。
冬至は太陽が一年で一番弱まる日で、再び日が長くなっていくのだが、
古代の人はこれに魂や生命力の再生をなぞらえた冬至まつりをしていて「霜月祭り」と呼ぶようになった。
そして現在も冬場にはこの霜月祭り系の神楽が各地で行われていて、11月からがそのシーズンになるのである。
特に中国地方や九州、そして三信遠(さんしんえん。三河-愛知、信州-長野、遠州-静岡の境のエリアで、天竜川中流域)の山間部に残る祭りは寒さをものともせずに夜を徹して行われるものが多く、
神仏混淆など古い形が残っているのだが、特に注目すべきは「山の神」の存在で、これは山から降りてくる神である。
「鬼神」「荒神」とも呼ばれ場合もあり、西日本によく見られるが、神楽で招く土地の氏神の他に「来訪神」や「呼ばれていない神」として「山の神」が登場する神楽が多い。
そして「自分の許可を受けずに祭りをするとは何ごとか」と文句を付け、問答になるものも多い。
この問答は「神懸かり」の際にどんな神が降りてきたのか確認する必要があり
、審神者(さにわ)がその役割をするのだが、その名残とも言われている。そして能楽などでの山伏などの宗教者と亡霊の関係も、この問答が元だという説もある。

   これらの山の神はほとんどが憤怒の形相を見せる鬼神面なのだが、この列島に生きてきた人たちにとっては「鬼」と「神」が同居していて、この二面性はまさに自然と人間の関係なのではないだろうか。
自然は人間が生きていくための食糧や生活道具の材料をもたらしてくれる「豊かな自然」であり、時に嵐や洪水、飢饉、疫病などをもたらす「残酷な自然」でもある。
鬼神をもてなし和解するのは、自然にはかなわないという前提の元に生きる人々の自然との関係を確認するものが根源にあると考えてもいいだろう。
どの祭りもそれぞれの土地で生きるための知恵や覚悟をベースにした強い信仰心による祈りが中心となっていて、
それを芸能によって明るく、時にははじけて愉しめる祝祭になっているのである。
 アニミズム、シャーマニズムを背景にした呪術的なこの文化は世界中のネイティブカルチャーに共通するものであるが、
明治以降急速に欧米化を目指してきて、現在は先進国といわれる日本社会の中にこれほど多くの神楽が残っていることは驚くべきことである。
まずはこうした文化が滅びなかったことに感謝したい。それほど神楽に携わる人々の信仰心、そしてそれぞれの土地で生きる「境地」は篤いのである。


 以上の文章をそのまま翻訳したものではないが、英語と中国語での簡単な解説が以下のリンクあります。
『KAGURA : The roots of Japanese traditional performing arts』


『神楽・作為基層文化的神楽之歴史与現状』


神楽ビデオジョッキー 

神楽ビデオジョッキーは三上が全国各地の神楽を訪ねて撮影した映像を上映しながら神楽を解説するもの。
神楽の楽しさ、面白さ、その意味や価値、現代の社会にとってどんな存在であるか、などを学術的でなくわかりやすく伝えます。
「現代神楽の基礎知識」のような神楽全般を紹介するやり方や、「奥三河の花祭」「黒森神楽」などそれぞれの神楽を特集するもの、「隠岐の神楽」「宮崎の神楽」など地域で紹介するもの、
また「神楽と巫女」「神楽と能」「神楽と祝福」「神楽と修験」「神楽の音楽」「神楽とエロス」など様々な切り口でテーマを決めるやり方など、さまざまなアプローチを用意しています。
ビデオが上映できるところならどこでも可能です。イベントや講演会、ギャラリーやカフェ、居酒屋や個人宅でもこれまで行ってきました。
所要時間はだいたい2時間から4時間くらい。祭の映像を見ながらなので飲食が出来るとより楽しいです。ライブとの組み合わせも出来ます。
当サイトの「MUSIC」や「EVENT」のページにも資料があります。条件が合えばどこへでも出向きますので、ご相談ください。
映像は東中野のポレポレ坐で定期的に行っている「お神楽ナイト」の21回目のものから6分半ほど切り取ったものです。

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これまで訪ねた神楽 

◇本祭
北海道・松前神楽(松前神社)(2回)
北海道・小樽住吉神社神楽
岩手・早池峰神社例大祭(3回)岳神楽(1回)大償神楽(1回)
岩手・黒森神楽(黒森神社・巡業5日)
岩手・鵜鳥神楽
岩手・大乗神楽(大会4回、北笹間、村崎野)
岩手・石鳩岡神楽
岩手・幸田神楽(一部)
秋田・根子番楽
秋田・保呂羽山の霜月神楽
山形・杉沢比山番楽
山形・本楯神代神楽
宮城・雄勝法印神楽
群馬・榛名神楽(2回)
埼玉・鷲宮催馬楽神楽(3回)
埼玉・玉敷神社神楽
東京・江戸里神楽(日枝神社)
東京・品川神楽
長野・木曽駒ヶ岳神社太々神楽(2回)
長野・新野雪祭り(4回)
長野・坂部の冬祭り(4回)
長野・遠山祭り(上町正八幡2回・木沢正八幡・和田遠山天満宮・下栗拾五社5回・程野正八幡・中郷正八幡2回・小道木熊野神社)
愛知・花祭(布川18回・月2回・御園15回・小林・古戸2回・足込・上黒川2回、下黒川)
愛知・参候祭り
伊勢大神楽加藤菊太夫組
京都・大田神社巫女舞
兵庫・上鴨川住吉神社神事舞
島根・佐陀神能
島根・隠岐島前神楽(焼火神社8回・由良比女神社5回)
島根・斐川神楽(焼火神社例大祭奉納)
島根・隠岐島後久見神楽(7回)
島根・大原神職神楽
島根・大元神楽(市山)
岡山・備中神楽
広島・比婆荒神神楽
山口・三作神楽
山口・行波の神舞(2回)
高知・本川神楽(2回)
福岡・豊前神楽
長崎・壱岐神楽
長崎・平戸神楽
長崎・福江神楽
宮崎・高千穂秋元神楽(4回)
宮崎・椎葉尾手納神楽
宮崎・椎葉嶽之枝尾神楽(2回)
宮崎・椎葉不土野神楽
宮崎・椎葉日添神楽
宮崎・中之又神楽(3回)
宮崎・諸塚南川神楽(9回)
宮崎・諸塚戸下神楽(5回)
宮崎・桂神楽
宮崎・尾八重神楽(2回)
宮崎・銀鏡神楽(3回)
宮崎・西米良村所神楽(3回)
宮崎・西米良小川神楽
宮崎・九所神社神楽
宮崎・祓川神楽

73箇所180回
うち夜通し108回

◇他所出演
東京花祭り(御園)5回
早池峰岳神楽((はやちね全国神楽祭他2)
早池峰大償神楽(はやちね全国神楽祭)
高千穂神楽(はやちね全国神楽祭)
高千穂秋元神楽(韓国他2)
隠岐島前神楽(韓国、伊勢)
由布院神楽
由布院並若神楽
玖珠神楽
石見神楽
小樽松前神楽
野幌神楽
室蘭神楽
隠岐島前神楽(伊勢)
本川神楽(伊勢、イギリス)
下北能舞(はやちね全国神楽祭他2)
横岡番楽
鬼首神楽
三志大神楽
横町神代神楽
根子番楽((はやちね全国神楽祭ほか3)
布川花祭(伊勢)
月花祭(東京)
御園花祭(白州)(国立劇場)
早池峰石鳩岡神楽(白州・はやちね全国神楽祭)
上五島の神楽三ヶ所(国立劇場)
佐陀神能(はやちね全国神楽祭)
雄勝法印神楽(はやちね全国神楽祭)
土師一流催馬楽神楽(はやちね全国神楽祭)
伊勢大神楽(はやちね全国神楽祭、韓国2)
保呂羽山の霜月神楽(はやちね全国神楽祭)
奥飯石神楽(日本青年館・民俗芸能祭)
山代神楽(日本青年館・民俗芸能祭)
大人神楽(六本木&國學院大學)
v 神楽番楽フェスティバル出演神楽
日本の祭出演神楽
はやちね全国神楽祭出演神楽
みちのく神楽大会

◇他祭礼&伝統芸能
秋葉まつり(高知)
西馬音内盆踊り(秋田)
角館祭り(秋田)
竿灯祭り(秋田)
板橋の田遊び(東京)(徳丸2回・赤塚2回)
猿田彦神社おみた
新野盆踊り

他にも日本青年館、国立能楽堂などでの公演多数。

2022.08.08現在

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